(7) 自治省
自治省では、地方公共団体の情報化を促進するため、財政支援措置を含む種々の施策を推進している。特にICカードの活用の面からみれば、平成9年7月に各地方公共団体に通知した「高度情報通信社会に対応した地域の情報化の推進に関する指針」において、住民生活の情報化を推進していく上で検討されるべき施策の一つとして、保健・福祉・医療の分野での利用が取りあげられている。すなわち、「記憶容量が大きくセキュリティ機能の高いICカードに個人の検診情報、既往歴、介護情報等を記録することなどによる、各種医療機関における診断、個別健康相談及び訪問介護等の迅速化、効率化。」とされているものであるが、厚生省の保健医療カードの推進とあわせ、この面での地方公共団体における活用は今後益々拡大が期待されるところとなっている。
さらに自治省では、地域情報化の一環として、コミュニティ・ネットワーク構想を推進し、平成3年度からICカードを活用した地域カードシステムの構築を支援している。
地域カードシステムは、地方公共団体が発行する一枚のICカードに地域住民の各種の情報を記録し、住民サービスの向上に役立てるものであるが、保健、医療、福祉分野を中心に複数の行政窓口業務や商店での利用など、多目的かつ広域的な利用が推進されつつある。なお、地方公共団体におけるICカードの活用については次節参照。
以上のように、各省庁では国際的な標準化動向等も見据えながら、それぞれの所管に関わる行政分野に関連してICカードの活用方策を進めつつあり、最近では多目的利用の観点から関係省庁が相互に提携して施策を展開する動きも活発となっている。
これまで上げた省庁のほかにも、たとえば警察庁の運転免許証のICカード化など、今後さらに公的分野でのICカード活用が進展することが期待できる。
2-3 地方公共団体におけるICカード利用の動向と課題
2-3-1 ICカード利用の動向と課題
(1) 磁気カードとICカード
社会における情報化の進展を表すものに、カードの普及があり、我々の日常生活にも大きな影響を及ぼしている。よく使われているカードは、磁気カードで、キャッシュカード、クレジットカード、テレホンカード、メンバーズカード及び公共交通機関の定期乗車券などがある。最近では、一人で何枚もの磁気カードを所持していることも珍しくない状況である。このように、カードが普及している中で、最近、注目されているメディアの一つにICカードがある。