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(6) 建設省

 

建設省では、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)を推進中であるが、この一環として、ICカードを利用した有料道路の料金所におけるノンストップ自動料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System)の開発を本格化し、平成11年度にはその実用化に向けた普及促進を図ることとしている

ETCは、有料道路における料金所渋滞の解消、キャッシュレス化によるドライバーの利便性の向上、管理費の節減等を図るため、料金所に設置したアンテナと通行車に装着した車載器との間で無線通信を用いて自動的に料金の支払いを行い、車が料金所で停止しなくても通行できるシステムである。

車載器は車両のダッシュボードの上などに設置される無線装置であり、これに利用者の契約情報などを記載したICカードを挿入し、有料道路の料金所のトールゲートに設置した路側アンテナとの間の無線通信により、通行料金などの情報を路側アンテナに接続した有料道路のコンピュータシステムとICカードの双方に記録して、料金の収受を行う仕組みとなっている。

このシステムについては、我が国の有料道路は、複数の管理者が異なる料金体系で運営しているが、一つの車載器ですべての有料道路のシステムが共通的に利用できるよう、建設省及び道路四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)が共同で開発を進めており、道路四公団の既設の約1,100箇所の料金所等を対象に、採算性、効果性を踏まえて逐次整備される予定である。平成11年度には、首都圏の特定の道路路線でサービスを開始するとされている。

このシステムに利用される機器等のうち、車載器については、主に民間企業が製作販売するものを有料道路利用者が購入することとなっており、ICカードについては、有料道路事業者からカードの発行を委託された民間企業(例:クレジット会社等)が製作して利用者に貸与する方法、あるいは、有料道路事業者が調達し、利用者に貸与する方法などが検討されている。

また、このICカードは、クレジットカードなど民間との提携により、多目的かつ多様なサービスを展開できるようにし、ETCの普及促進と新たな市場の創出を図ることも考えられている。

なお、ETCを含むITS全体構想の推進については、関係省庁(警察、通産、運輸、郵政)や大学、民間との連携のもと継続的に取り組むものとされている。

このほか、建設省では、建設現場等における労務管理にICカードを活用するため、その標準仕様等の検討を行っていると伝えられている。

 

 

 

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