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保健医療カードは、地方公共団体等の公的団体が運用主体となり、個人の健康歴をICカードを用いて住民自身が保管管理する新たな形態の保健医療情報システムであり、個人基本情報、救急情報、医療情報(既往症、投薬歴等)、検診情報などを蓄積記録し、保健医療サービースの充実に取り組むものである。しかし、カード内情報が医療情報、個人基本情報という個人のプライバシーに関わるものであるため、ガイドラインにおいては運用上特段の配慮が求められている。また、異なった自治体などで発行されたカードであっても、相互に利用できるよう互換性を確保するものとされている。

地方公共団体における実際の運用例をみると、行政窓口カード(各種証明書等の発行手続の簡略化)としても利用するなど、保健医療のみに限らずこのカードを多目的に利用しようとする動きも増加の傾向にある。

 

2] 国民健康保険や健康保険など医療保険の被保険者証をICカード化し、被保険者情報のほか、検診情報や健康づくり情報も収録蓄積する医療保険カードの実験が、平成7年度から熊本県八代市において行われた。この実験結果をふまえ、厚生省では今後の医療保険カードの在り方やその普及について検討することとしている。

 

(3) 通商産業省

 

通産省では、我が国の産業分野、社会分野、国民生活分野など様々な分野に関わる情報化施策を展開している。事業の種別もきわめて多彩であり、ICカードの活用の面からみてもいろいろな事業が関連してくるが、補助金等財政支援を含む公共サービスの向上に関わるいくつかの施策をあげてみれば以下のとおりである。

 

1] 地域における電子商取引の普及

地域の商店街にICカードシステムを導入し、ポイント制の採用や公共機関との相互利用により、商店街の経営効率化と顧客の拡大を図るなどの事業を支援する。

 

2] 多目的ICカード情報化事業

健康管理や福祉・各種行政サービス等複数の目的に利用可能な多目的ICカードシステムの利便性の向上を図るための実証実験などを支援する。

 

3] 産業・社会情報化基盤整備事業

電子商取引等基盤関連としての新世代ICカード共通システムの開発などを行う。

 

4] 先進的アプリケーション基盤施設整備事業

地方公共団体等が、先進的な情報処理技術を応用したアプリケーションを整備し、公的分野、産業分野における先進的な情報化のモデルとなる事業を補助する。この例としては、商店街総合カード(多目的ICカード)システムの導入(佐賀市、滝川市など)がある。

 

 

 

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