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このなかで、これからのネットワーク社会における電子取引、電子申請の場面においては、法的効力を有する商業登記に基づく電子認証制度を整備することが有益であると指摘されている。その仕組みとしていくつかの方法が検討されているが、電子認証を行うための電子証明書の発行方式においてICカードの活用が提案されている。

すなわち、商業登記所が自ら電子認証を行う場合、公開鍵暗号方式により、登記されている会社等の代表者、支配人等は、管轄登記所に対し、秘密鍵公開鍵のペアが記録されているICカードを登記所に提出し、電子証明書の発行を請求する。登記所では所要の処理を行った後、電子証明書をICカードに格納して申請人に交付する方式である。ただし、これについては、他の方法も考えられるので今後なお検討が必要であるとされている。

なお、その後の検討においては、秘密鍵について本人以外の者が関与しうる機会を排除する観点から、登記所に対しては、公開鍵情報のみを提出すべきものとし、本人が秘密鍵を保有していることについては、別途の方法により検証すべきものと考えられている。また、電子証明書をICカードに格納して交付する点についても、ICカードヘの格納等は各利用者において行えば足りるものと考えられている。

このほか、法務省では、会社等法人の印鑑証明についてもICカードの活用方式の検討を行っていると伝えられている。

 

(2) 厚生省

 

厚生省所管行政の情報化のうち、現時点でICカードの活用を推進している主要なものとしては、保健医療カードシステムと医療保険の被保険者証のICカード化がある。

 

1] 保健医療カードシステムについては、厚生省が昭和62年度以降、兵庫県の五色町及び姫路市で実験を行い、その成果や経験をもとに平成6年、「保健医療カードシステムに関するガイドライン」としてとりまとめ、同年7月、各都道府県に対し、地方公共団体がこのシステムの導入、運用の際に活用できるよう通知を行っている。これに基づいて保健医療関係の情報を組み込んだICカードを発行し、住民サービスの向上に役立てている自治体は、すでに50団体以上になるとみられ、今後さらに運用地域の拡充が期待されている。

 

 

 

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