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2-1-5 医療分野

 

(1) 医療ICカードのもたらすメリット

 

医療業界では昨今、経済成長に見合わない医療支出の増大をはじめ、不正経理など様々な問題点を抱えている。また、個人の医療に関する記録が治療を受けた病院毎に分散して保存されており、その病院で治療を続けない限り情報は更新されない。そして何よりも患者本人の手元に一貫した自分の医療記録がなく、自由に自分のデタにアクセスできないという点に矛盾がある。これらを解決するためにはコスト削減などによる合理化や情報開示、医療情報の一元化などが求められている。

その切り札として医療ICカードの利用が注目されつつある。ICカードは個人が携帯し、治療を受ける毎にカード内にデータが蓄積されていく。治療を受ける時は、そのカードを読み込むことで一貫したデータに医療機関がリアルタイムに到達でき、無駄なく最適な処置を可能とする。また個人が医療情報を管理することになるため、医療行為の不透明な部分を明瞭にすることができ、不正請求などの防止も可能となる。各立場からの具体的なメリットをまとめると次のようになる。

 

1] 患者側のメリット

 

(a) ケアの質の向上

(b) サービスの改善

(c) 救急時の医療記録へのアクセス

(d) 旅行中または移動中の医療の最適化

(e) 医療記録セキュリティの改善

(f) 医療用機器の追跡

ペースメーカーなど体内に機器を装着している患者について、機器の製造年月日、シリアルナンバーなどメンテナンスに必要な情報を管理できる。

 

 

 

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