2] 更新
一度発行したICカードの記載内容に変更、追加、削除等の更新が必要になった場合、どこで、どのように更新できるのか、そのために必要な書類等は何か等の手続、処理を明らかにしておく必要がある。この手続が明確になっていないと、複数アプリケーション上の原データとカード上のデータの同期が図られないこととなる。
複数機関にまたがる内容が記載されている場合に、ワンストップでどこまで更新できるのか、その場合の更新の責任者は誰になるのか等も問題となる可能性が高く、事前に検討されなければならない。
3] 再発行
一度発行したカードの破損、紛失、盗難等による再発行手続も確立しておく必要がある。西欧諸国で発行されている写真つきのICカードの場合は、一定年度毎に(通常10年)写真を新しいものにすることが必要である。
住民基本台帳ネットワークで想定されている住民票カードは全国共通であるから、引越し等の異動による再発行は不必要であるが、県民、市民に交付され、利用されるカードの場合は他地域へ引っ越した場合に、再発行が必要となる。
4] 運用責任
多目的総合ICカードの運用上のさまざまな問題への対応、利用段階でトラブルが発生した場合の責任、措置等の問題も少なからず存在すると想定され、運用主体と責任範囲を明らかにしておく必要があろう。特に、民間ベースのサービスを組み入れた場合の官民の役割分担、責任範囲はかなり難しい問題であろう。
5] 費用
ICカード自体、読み取り装置等の費用負担も多目的に活用することによって、複数機関の間でどのように配分するかが議論されなければならない。カードは発行主体が負担し、読取装置は設置する機関が負担することが想定される。また、多目的に利用する場合の運用コスト、特にネットワークに関連する経費は多くの経費を伴うだけに、十分な対策が必要であろう。
民間機関のサービスを組み込む場合は、この経費負担はさらに複雑になろう。カードを利用する者の受益者負担、サービスを提供してビジネスを行なう者等の負担と手数料等の徴収、配分をどうするかも、複数機関が参加するだけに容易ではない。
3. 調整・連携
多目的ICカードのサービス対象は国、県、市町村等をまたがる複数の機関に及ぶことから、ICカードの発行から、対象サービスの確定、運用方法、責任範囲、費用負担等の調整、連携が極めて重要になる。