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3] 発行方法

 

全国民へもれなく、重複なくコードを付与し、適格者にカード配付することはきわめて難しい。現在行政機関で最もカバー率の高い個人情報を登録し、更新している住民基本台帳をベースにするのがもっとも現実的な方法であろう。

本人確認の手段がないのであるから、カードを付与する場合に、本人であるか否かをチェックすることが原理的には不可能であるという問題もある。

 

2. ICカードの運用システム

多くの国民に交付された多目的ICカードの運用、管理に関して、1]パスワード管理、2]更新、3]再発行、4]運用責任、5]費用分担等が検討されなければならない。

 

1] パスワード管理

 

多目的カードの場合は、パスワード管理が今までの個別カードの場合より厳しいものが求められるであろう。パスワードの登録管理の方法には、1]パスワードを発行者側が付与し、保管している場合と、2]パスワードの設定は本人のみが行ない、発行者側はまったく知らないという2つの方法がある。

前者の場合は、自分の覚えやすいパスワードではないこと、行政機関が個人のカードを開くカギを持つことによる抵抗感があり、国民からの評判はよくないとされているが、忘れた場合特に、緊急時等において本人がパスワードを入力できない場合にも対応できるというメリットがある。

後者の場合に、パスワードを変更する場合は、発行者に本人確認の書類を提示し、発行者はそのカードのパスワードをリセットするだけにとどめ、本人が新しいパスワードを書き込むこととなる。このことによって、発行者側にはパスワードが一切残らないこととなり、前者のような不安感、抵抗感がない。紙ベースの写真付身分証明書が既に存在しており、問題なく本人確認ができる西欧諸国の一部でこの方式が採用されているが、本人確認手段がない我が国においては導入が困難であるが、検討されるべき方式であろう。

 

 

 

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