提言3:関連する複数機関間で調整を図り、発行、運用システムを確立する必要がある。
1. 全国レベルで利用可能な他目的ICカードの発行主体、発行方法について、住民基本台帳ネットワークの住民票カードをベースにして検討するべきである。
2. カードの再発行・記載内容の更新、費用分担等運用における責任体制を明らかにする必要がある。
3. 複数関係機関間の調整、連携体制を確立する必要がある。
1. 発行主体・発行方法
多目的ICカードを複数のアプリケーションに共通して利用できるようにするためには、1]どの機関が、2]誰に対して、3]どのようにカードを発行するのかが検討されなければならない。
1] 発行主体
カードの主たる対象業務を所掌する機関が多目的ICカードの発行主体になるのが自然であるが、対象サービスが拡大し、責任の所在が特定省庁の所掌事務を超えることになると、発行主体が改めて議論されることとなろう。
例えば、住民基本台帳ネットワーク構想の住民票カードを行政サービス用の多目的総合カードと想定すると、発行主体は第一義的には自治省が発行機関となるであろうが、そのカードの利用範囲が拡大し、運転免許、社会保険等の国のアプリケーションや県、市町村において利用し、あるいは対面方式およびネットワークにおける本人確認の手段とすることになると、発行主体が改めて検討されなければならないであろう。
2] 発行対象者
発行対象者についても、単一目的のカードと異なる問題に直面することとなる。すなわち、発行対象者の資格要件、年齢制限等が行政サービス内容によって異なる点をいかに調整するかという問題があるのである。
住民基本台帳の住民票コードに基づくカードの場合、コード自体は出生にともなう住民登録時に付与されるであろうが、カードはその時点で発行されない。住民票カードが本人確認の手段として公式なものとなると、極端な例であるが、西欧諸国のように銀行口座を開くときにIDカードが要求されるようになり、その場合にはゼロ歳の子供の本人確認のためにカード発行が要求されるかもしれないのである。各種免許証等は当然、一定年齢に達するまでカードは発行されない。