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このグラフは、電気産業における実績の一例であるが、100台目の製作所要時間は約1/50に低下し、100台目まで累計した平均時間は1台目の1/10以下になっている。繰り返し生産による工数低減効果は、造船業関係者の想像をはるかに超える大きさである。

この段階において、小額の資金で大きな改善が可能な、要素作業レベルの「ムダ」排除に取り組むべきである。次にあげる「ムダ」の時間比率が大きい事は、造船の作業現場に大凡共通である。

1. 何も持たずに歩く。

2. 道具を持って歩く。

3. 物を探す。

4. 精度不良を修正する。

これらの「ムダ」な時間の多さのために、造船の多くの工程において、真に溶接アークの飛んでいる時間比率は、その工程の総作業時間の10%を大きく下回る場合が多い。この場合、溶接を完全自動化しても、その工程における工数低減の効果は高々10%である。即ち、自動化の投資効果は小さいことになる。技術的に難しく、且つ投資額も大きい溶接の自動化を考える前に、先ず上述のような「ムダ」を排除する必要がある。上述の4項目の動作に着目し、それを減少するにはどうすれば良いか考え、解決策を実行する効果は大きい。しかも、設備費は僅少で済む。

● 動力利用の機械化

第二の手順、機械化は「大きな力が出てしかもくたびれない機械の利用」である。ライン化が完了していると、作業は大凡同じ動作の繰り返しになるから、一つの動作を繰り返し行う既存機械の利用、又は専用機械の設計製作が可能になる。

ここで、造船のように対象物が大きい場合、機械の移動が問題になり、機械化を断念する場合も多い。しかし、前項のライン化が完了していると、機械は一定の場所に据え

 

 

 

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