日本財団 図書館


5.3.7 設備近代化の手順

● ライン化・機械化・自動化の手順

近年、生産性向上というとロボットの利用をイメージする人が多い。確かに、自動車産業、家電産業、各種小物日用品の製造業において、自動機械とロボットは大量に使用されている。しかし、そこに辿り着くために、必ず踏まねばならない手順(道程)がある事を忘れてはならない。日本の大手造船所においても、この手順に対する考慮不十分のままにロボット化などを計画し、十分な効果を達成できなかった例は多い。

ある工程の生産性向上を企てるとき、次の3つの段階を一つずつ完成させる道程を経る必要がある。前段階は後段階を始める条件であるから、途中を省略する事は不可能である。

 

生産性向上の手順

124-1.gif

 

● ライン化と作業改善

第一の手順、ライン化は「同じ作業を同じ場所で繰り返し行う」と要約できる。このときの「ライン」はコンベアラインのような固定的な機械設備を設けることを意味しない。人が台車を押して次の工程(場所)に部品を移動する方法でもかまわない。同じ作業を同じ場所で繰り返し行う条件が整うと、作業台、治工具の改良など、作業を楽に能率良くする工夫を累積する事が出来る。毎回作業と場所が変わるとそれらの工夫を累積する事は困難である。

生産性向上において、工夫(智恵)の累積が大事であり、そのために同じ作業を同じ場所で繰り返し行う条件を整える必要がある。習熟性工学として経験的に立証されている通り、繰り返し生産では、下図に示すように累積生産数の対数値に比例して生産性は向上する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION