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5.3.6 生産性向上の手法

● IE:現場を定量的に見る

生産性を向上する方策は、機械化と自動化だけではない。その前に、もっと大きな効果があり、且つあまり金のかからない「作業改善」の方策がある。作業現場を定量的に且つ綿密に観察すると、作業の「ムダ」が浮かび上がり、改善案を見つけることができる。

作業を改善するためには、先ず作業現場が今どんな状態になっているかをよく知ることから始めねばならない。よく知るということは皆が同じレベルで認識することであり、そのためには具体的な数値にすることが必要である。これは「科学的にアプローチする」と表現され、Industrial Engineering(以下IEと略記する)の原点である。

作業現場を観察するときに、観察の精粗に着目する必要がある。IEでは分析の精粗を通常次の図に示す5段階に区分する。造船における各段階の具体例を項目毎に示しておく。なお、矢印は下位の段階に展開されていることを示している。

 

作業分析の精粗

122-1.gif

 

● 細かく分析すると「ムダ」が見つかる

大工程は一つ当たり数時間から数十日の長い区分である。要素動作は通常1/100分を単位に計測するごく短い動作である。繰り返し性の小さい造船業の場合、要素作業あるいは要素動作レベルの観測をすることは少ない。しかし、繰り返し性の大きい自動車産業などにおいては、要素動作レベルの細かい分析まで行い、30秒のサイクルタイムを数秒ずつ短縮する改善を常に行う。

 

 

 

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