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言する専門化の道程をたどりつつあるといえる。企業の特徴は様々であるから、専門化されている分野は各企業で異なっているが、集約するならば次の3種に分類できる。

1. 中規模及び小規模造船所で、特別の技術を必要とする船種に受注を特化し、全世界からの受注を獲得している。但し、製造段階は、大幅に各部分の専門外注先を利用している。

2. 小規模造船所で、国内船主の要求に対応する特徴ある設計を競争力にしている。競争力の根元である設計の大部分と船台組立を社内に確保する。部品の製作組立は、専門メーカーに発注している。

3. 小規模造船所であるが、船舶の受注に見切りを付け、船殻組立の工場と設備を新設し、コスト競争力を強化して、大手造船所のブロック組立など鉄工工事を受注することに特化している。

これらの企業は、先ず、自社の得意とする製品に特化している。次に、社内に確保する工程を絞り込んでいる。社内の人材や設備は、これらの重点製品、重点工程に対し集中的に配分され、新規投資も行われている。明らかに、専門化の経営方針が貫かれている。

上に提言する抜本的な生産方式の改革を一気に実現することは困難であろう。しかし、その方向に進まないと、いつまで経っても目標に到達しない。ここに述べる、現状元気な諸企業は、明らかに、専門化の道を選び、その範囲で、繰り返し性向上の道をたどっている。九州・沖縄地区中小造船業・舶用工業各企業は、これら企業に倣い、積極的に、特定分野における専門化と、その分野における量の拡大、繰り返し性増大の道を歩んで欲しい。

 

5.3.4 情報ネットワーク

今回のアンケート調査でも、依然としてコンピュータの活用状況は、現状では給与計算をはじめとして経理財務等の事務作業では、ほとんどの企業で利用されている程度であり、作る技術を標榜する造船業としてはかなり問題である。調査では数社でCADを使用した設計・生産部門での利用が少しずつ進められている程度であり、LANなどの情報ネットワークヘの関心度は高まりつつあるが、情報ネットワークヘの対応が極めて遅れている。

情報ネットワークヘの対応が遅れている主たる原因は、現在の経営状態から導入を踏みとどまるケース、経営者の認識不足、パーソナルコンピュータに精通した人材の不足などが上げられる。

今日、情報の重要性が増し、情報の受信発信装置としてのパーソナルコンピュータが安価になり、しかも必要情報がインターネットなどを通して簡便に入手できる状況にある中、情報力が企業の競争力の大きな要素であり、情報伝達技術を使いこなすことが企業の盛衰を決めるといっても過言では無い状況である。

 

 

 

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