及び原子力発電でも禁止の方向にある。佐賀大学では、オゾンを用いた高性能な防汚技術を開発した。この技術によりトリハロメタンが発生しない環境に優しい技術を確立している。
これまで海洋温度差発電システムの発電単価については、種々の試算がなされている。それによると50〜100MWの大型プラントになると15〜7円/kWhで火力発電および原子力発電と、1〜5MWの小型では29〜20円/kWhでディーゼル発電と、同程度かそれ以下の発電単価であるとされている。
● カリーナサイクル
カリーナ(A.A.Kalina)は、従来の発電サイクルとは異なった新しいサイクルを発明した。昭和62年海洋温度差発電用として日本国内でも特許(特公昭62-39660)を取得している。このカリーナの特許では、従来のランキンサイクルと比較して熱効率が約2倍向上し、冷海水流量は約40%減少し、必要な熱交換器面積も約40%減少する、と示している。このサイクルは今日カリーナサイクルと呼ばれ、海洋温度差発電以外にコンバインド発電、地熱発電、ゴミ発電などそれぞれの発電方式に適したサイクルが10数種類提案されている。図3にカリーナサイクルを用いた海洋温度差発電の概念図を示す。従来のランキンサイクルでは作動流体として純物質(アンモニアやフロン)が用いられていたが、カリーナサイクルでは、作動流体に水とアンモニアの混合物質が用いられる。
佐賀大学は、このカリーナサイクルに注目し理論的考察を行った。その結果、温海水入口温度が28℃、冷海水入口温度が4℃のときランキンサイクルでは、サイクル熱効率は約3%であるが、カリーナサイクルでは、約5%にもなることを示した。しかし、カリーナサイクルでは、作動流体にアンモニア/水の混合物質を用いるため、純粋のアンモニアを利用するランキンサイクルに比較して、蒸発器および凝縮器の性能が低下する欠点などが懸念されている。