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図2 海洋温度差発電の多目的利用

 

● 技術開発と新しいサイクルの発明

海洋温度差発電の多目的利用を推進しトータル効率を高める技術開発とともに、海洋温度差発電の発電効率そのものを飛躍的に高める研究開発が近年新たな展開を始めている。

● 新しい技術開発

海洋温度差発電は、化石燃料などを利用した従来の発電方式と比較して利用できる温度差が小さいために、熱効率は小さくなる。そのため海洋温度差発電の研究は、実証プラントの建設と並行して、蒸発器、凝縮器、タービンなどの構成機器の高性能化や、トータルシステムの最適化などについて技術開発が精力的に行われてきた。

特に、主要構成機器である蒸発器、凝縮器に関する近年の研究は目覚しく、今日海洋温度差発電が実用化レベルまで漕ぎ着けたのにはこれらの研究成果によるところが大きい。なかでもプレート式蒸発器とプレート式凝縮器の開発によって、海洋温度差発電の経済性は著しく向上した。プレート式の蒸発器と凝縮器を用いると、発電プラントは極めて小さくなり、コストも低減される。また、海洋温度差発電は、多量の海水を利用することによって発電するシステムなので、海水の汲み上げに要するポンプ動力のためには、海水の使用量をできるだけ少なくするとともに、熱交換器の圧力損失を小さくすることも極めて重要である。この点からもプレート式の蒸発器と凝縮器は優れている。

高性能は熱交換器の開発とともに、熱交換器の防汚技術が重要である。この防汚技術として従来からクロリネーションが用いられてきた。しかし、海水にクロリネーションを用いるとトリハロメタン等の発癌性物質が発生するため、その使用は従来の火力発電

 

 

 

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