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在来内航船に比べ自動化船のトータル運航コストが優位であることが実証できれば、体力のある内航事業者は必然的に新造設備投資を行うこととなる。

(2) 船舶・港湾一体型のモーダルシフトシステム

また、前記(1)の予算要求の一環として、現在トラックで運ばれている高速貨物を海上へシフトすることを狙った大型フェリーに関する調査も予定されている。

これは、既存フェリーを用いたドアツードアの複合一貫輸送が、宅配便や路線貨物の様な到着時間に厳しい貨物に対応出来ていないという問題と、トラックからフェリーへシフトしたくても運賃が高くてシフトできないという問題を同時に解決しようとするものである。

船は、船形の大型化によって飛躍的に経済性を増すことが出来る。しかし、積載台数が増えると積み卸しに時間が掛かり停泊時間が長くなり、船の稼働率が落ちるだけでなく、さらに高速力が要求されることになる。この背反する要件を同時に達成するため、船の設備だけでなく港湾設備とのタイアップによって荷役時間を最小化させる方策を検討する。例えば、フェリーの上下2甲板それぞれにランプを船首尾に2基設け、全層同時荷役を行うことなどが考えられる。

(3) 国際高速カーフェリー

欧州域内では、旅客船事業の規制緩和によって、国際航路に従事する高速カーフェリーが急増している。我が国においても将来のアジア経済圏を睨んで、韓国、中国、台湾などとの間に高速カーフェリーの導入は十分に考えられる。

但し、欧州の輸送ニーズの大半は乗用車と旅客であり、我が国の貨物自動車中心の国内フェリーとは質的な違いがある点は否めない。しかし、我が国のモータリゼーションの進展はいずれ欧州に迫ることが予想され、新たな需要の創出の可能性が高い。

しかし、フェリールート開設の前提として、乗用車のより自由な国際往来が確保されることが重要であり、保険制度の確立や車検制度の相互認証などの課題が残されている。

 

5.1.2 浮体式海洋構造物の可能性

我が国の四面は海に囲まれ、多くの都市が沿岸を中心に発展し、特に戦後造成された広大な埋め立て地は、我が国の高度経済成長を支えてきた。しかし、水深の浅い比較的利用しやすい海域は、既にほとんどが開発され、今後はより深い海域を利用せざるを得ない。海上施設の建設工法は、埋立、杭桟橋などが一般的であるが、浮体は大水深に適した新たな工法として今後大きな可能性が期待される。

このような浮体の潜在的可能性を引き出すべくメガフロート技術研究組合では、平成7年度から9年度に、300mの浮体模型による実証研究を実施し、「数km規模で100年耐用の超大型浮体式海洋構造物の設計建造技術」を確立した。

 

 

 

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