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4.4.7 技術力向上の対策と提言

・ 経営トップ自ら意識改革(発想の転換)をおこなうこと。

・ 景気の変動に左右されない技術集約型に改革し自ら需要の喚起ができる経営体質の構築を図ること。

・ 経営資源(人・もの・金・情報)を技術力向上に集中し技術開発力を高める。

・ 設計部門の体質強化をおこなうこと。

・ 設計のCAD化をおこない業務の効率化を促進すること。

・ 大学、研究機関、異業種との技術的な連携を強化し外部資源の活用を促進すること。

・ 公的機関の融資制度を活用すること。

・ 情報ネットワークの構築を促進すること。

 

新しい技術への挑戦のために

世界経済にリンクした海上荷動き量、またはそれにつれて変動する船腹需要と船価マーケットさらには韓国や中国の低船価攻勢。これらに翻弄されているのが現在の日本の造船業ではなかろうか。さらに内航船を主な建造船主とする中小の造船所では、これに輪をかけて供給能力過多の過当競争の場が広がっている。これらを少しでも緩和し、安定した建造量と、適正な利益をあげ得る業種に進出することは、若者に造船業への魅力を感じさせ、優秀な人材を確保して造船業を存続させるためにも是非とも実現したいことである。

この状況をもたらしている原因の一つは、船舶が単なる輸送手段の座に甘んじているところにある。運送業の重要さを否定するものではないが、現在のままではただの運びやさんに過ぎず、これから脱皮するには、たとえばクロネコヤマトが起こしたように、今までの既成概念を打ち破るような何らかの仕掛け、或いはソフトが必要と思われる。

視点をグローバルに持って見渡すと、地球が遭遇している問題として地球環境の保全と、それに適合したエネルギー源の確保といった高い次元の、しかもごく近い将来の現実問題に目が止まる。さらにこれを海洋或いは輸送手段と結びつけ考えると、いくつかの技術開発や需要の創出ができそうなものが浮かび上がってくる。

中小の造船業・舶用工業も早期から新しい技術の分野に参画しておくことは必要であろう。しかし単独での対応は困難であろうし、不可能でもあろうから開発組合のような形で各社から得意分野のエンジニアを選び、共同で取り組めば十分大手に対抗できる技術開発は可能と思われる。全く新しい異業種への挑戦で得られる各種ノウハウとソフトは大変に貴重なモノとなる。

これには技術開発が不可欠であるが自社一社でそれを賄おうとすることは中小の造船所や舶用メーカでは容易ではない。外部資源を利用すること或いは連携によるグループでの対応も考えられよう。

 

 

 

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