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5. 「企業間連携による経営資源の活用」

6. 「経営首脳陣の意識の革新」

大手金融機関の相次ぐ破綻事例であるように、市場経済のスピードは極めて速く、対応の遅れは命とりとなることもある。国内では民需・官需ともに猛烈な勢いで市場価格が下がり、海外に目を転じても激烈な価格競争に円高が加わり、大変厳しい状況にあるが、環境の良し悪しに関わらず良質受注が出来なければ企業の存続も危うくなってしまう。

環境の急激な変化にも柔軟に対応できる経営体質の改善と技術開発力の蓄積が大事になってくる。

マーケット拡大の時期は売上高、シェア拡大、企業成長率を重視する経営方針でもそれなりにいけるが、昨今のようなマーケット停滞の時代は収益を重視していかなければならない。売上・シェア拡大型経営から収益重視型経営への企業体質改善が必要である。

 

4.2 立地条件

 

かつての漁船や内航船の建造の時代にはマッチしていた工場の面積も、船舶の大型化や高速化による船型の変化等により、船台やドックの大きさが見合わなくなってきている。立地的に見ても、造船所周辺地域の開発が進行し、他の企業や住宅との距離が接近してきており工場拡張の参地もなくなってきつつある。対応策として、漁業関係者との和解ができているところでは、工場岸壁に隣接して海上にブロック建造用のバージや修繕用の浮きドックを係留して、工場面積をカバーしている造船所も多く見られるようになってきた。

しかし、加工工事、小組立・中組立工事など多くの作業は陸上で行われるため、建造能力にも多くの制約を受けてきていることは否めない。

21世紀へ向けて、中小の造船業が魅力ある産業として発展し続けていくためにはかつて、大手の造船所が九州に進出してきたように、また、陸上の工業団地が各地に誘致されその機能を果たしているように、中小の造船所もニーズの変化に対応できる設備の集約化と近代化を計ると共に、地域の造船連合体のような形態で新天地を開発していくのも一つの方策として考えられる。

また、九州は比較的に多くの造船の集積地があるが、舶用製品の多くは中国・関西地区より調達されており必ずしも九州地区の造船所に舶用メーカが密着しているとは言えず、納期、輸送コスト、メンテナンス等の面で地域的なハンデキャップがある。

造船所と舶用工業や関連工業が造船連合体として存在し、一体化できればより競争力のある強靱な業界の再建に希望が見えてくるのではないだろうか。

 

 

 

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