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造船業における自動化ではNC切断、溶接の自動化による効率化、省力化が可能であるが、中小造船所で導入されていない理由としては、(1)比較的にブロックが小さいこと、(2)部品点数が少なく多品種であること、(3)小造船所は立地的に敷地が狭いという根本的な課題があること、(4)ブロックや機材の搬送距離が短く、物の移動より作業者の移動の方が多い環境であることなど、投資と効果という観点では必ずしもハード的な設備の導入が有効な手段になるとはいえない事情があると思われる。

鋼材の切断については、自動切断機を持たない造船所においては、部品情報までを自社または設計会社で作成し、ネスチングから鋼材の切断までを専門業者に一括外注し「切り板」で納入している造船所が多く見られる。

むしろ、船舶の大型化、ブロックの大型化に備えたクレーン能力の増強、工場レイアウトの見直しなどによる物の流れの効率化、全天候型移動屋根の整備など作業環境の改善が工期の短縮、工数の削減、品質の向上に有効な手段であるのかもしれない。

雇用面においては、高齢化が確実に進んでおり、治工具の軽量化や地上でのユニット艤装化など、高齢者でも働ける作業環境の整備、女性労働力の活用も自動化に先立って必然かつ喫緊の課題であると思われる。

 

図3-3-21 合理化・省力化を図るために導入している機器

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図3-3-22 近代化機器導入のねらい

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