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重要性等の仕分けに関しては更なる調査と、情報技術・通信技術を活用した業務改革及び意識改革を取り込んだ見直しと検討が必要と考える。

特に、情報化社会における情報の機密性は、根幹となる重要な項目である。機密性の中身は国と国、会社と会社、それから会社と船等を考えると仕分けは単純に行かないと言われるが、「機密性(大)」とされている情報項目の大部分に関し、従前の考え方で今後踏襲していけるのかについて、以下の国際動向を注視する必要があると思われる。

カナダのハリファックスで開催されたG7で決定している情報通信分野の国際協力プロジェクト11項目の一つに「海事統合情報システム(MARIS:Maritime Information Society)の開発」があり、中身は次の4本柱で構成されている。

1] MARITRAN(航行状態をリアルタイムで一元管理しようとする)

2] SAFMAR(航行中の船のコンディションをリアルタイムで把握して、救助と海洋環境の保全を図る)

3] MARISOSE(海洋資源管理)

4] MARVEL-OUS(造船マーケットに対するコンポーネント・メーカーのネットワーク化)

「船位情報」や「応急、運用情報」を「機密性」大とする現状の考え方で世界の統合情報システムに参画していけるのかどうか。現行の日本の業務慣習が何処まで維持できるか、近未来大きな問題になるのではと危惧される。

 

(3) 情報通信媒体

現在の船舶の内、船内LANを装備している隻数はごく少数である。多くの船舶が無線電話、短波ファクス、衛星通信電話、ファクス、テレックス、電子メール等の設備を独立した形で装備し、海域、情報内容により使い分けているのが実状である。また、入出港S/B等の船内連絡には殆とがVHFを利用している。

最近は通信衛星経由の電子メールシステムを装備している船舶が増加しつつあるが、通信速度が速いので情報伝達の面からは通信費節減につながる。ただし、情報は自動的に受信されず、メールサーバーにアクセスしないと情報が送り込まれているか否かは分からないので、アクセス回数の設定に配慮しなければならない。

船舶より電子メールで送信された情報は、陸上LANを利用して必要箇所へ転送が可能である。また、電子メールシステムにおいては、文書情報をスキャナーで読みとり画像データとして送信可能である。電子メールに対しては圧縮化や暗号化を行うことにより、通信費の節減及び機密性保持に役立つ。

 

5.2.2 今後の船舶交信情報について

(1) 情報形態の変化

現在、船と陸でやり取りされている情報の形には、電話による音声情報、ファクスやテレックス電子メール等による文書及び画像情報または入港時に配信されるディスクや手紙等の文書情報がある。さらに、「船位情報」のように船内機器操作により自動的に得られる情報もある。

 

 

 

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