5.1.3 陸上情報システムの運用と情報管理についてのまとめ
陸上情報システムの現状を調査するために、衛星通信システムの調査、インターネット活用状況、電子海図表示システム、船舶交通安全通報及び港湾物流関係システムとして、SEA-NACCS、POLINETについて調査を行った。
(1) 衛星通信システムの調査
マルチメディア衛星通信システムに関連した機器やシステムの調査及び衛星通信実験施設の見学を行った。次世代のマルチメディア衛星通信として、高速移動通信、伝送容量の増大化、地上端末装置の小型化、インターネットでの高品質映像サービス、高速データ伝送などの技術開発と商品化が進められている。これらの技術が船舶に導入されることにより、通信費の削減、少人数化した乗組員の作業量削減が計れ、船舶の安全運航に寄与することが可能である。
(2) インターネットの活用状況
海事関係機関のインターネットの活用に関して、関連するホームページのURL及びホームページの概要を調査した。日本における海事機関でのインターネット利用は米国より遅れており、今後の活用及び環境整備が望まれる。
(3) 電子海図最新維持データ管理
情報システムの代表として電子海図表示システムを取り上げ、電子海図の最新維持データ管理について調査した。調査内容としては、電子海図の現状、更新情報の提供及びRCDS(ラスター海図表示システム)性能基準を取り上げた。
(4) 船舶交通安全通報
船舶交通安全通報の沿革とインターネットによる情報提供について調査した。海上保安庁水路部のホームページで「水路通報及び各管区水路通報」及び「日本航行警報」が情報提供されている。
(5) 港湾物流関係システムの現状
港湾物流関係のシステムとして次期SEA-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)及びPOLINET(港湾貨物情報ネットワークシステム)を取り上げ、そのシステム内容と関連事項について調査を行った。
5.1.4 情報システム構築に必要な技術的諸対策についてのまとめ
情報システムの中核として位置付けられるデータベースを中心にして、システム構築に必要な技術的な問題と対策について調査した。現状の情報処理能力で構築できる陸船間システムについて検討を行った。現状ではマルチメディア対応を行うことは不可能であり、インターネット接続は回線コストや安定性を考慮すると問題点が多いことから、短時間にまとめた情報を受け渡すようなシステム構築が必要であるとの結論を得た。