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第一段階(創始期)・第二段階(拡張期)では、個別に数多くのシステムが無統制に構築された。

第三段階(統制期)では個別システム開発で弊害となったデータの重複を無くすためにデータベースの活用が図られている。

現在の多くの企業では、データベースやネットワークシステムが導入されていることから、第三段階にあると考えられる。また、データベースを中心にシステム統合を実現することが当然になってきており、第四段階(統合期)に推移しようとしている。

今後はデータをもとにした計画管理業務を行い、更にデータ資源を活用する戦略計画システムの実現へと向かっていくだろう。

3) データ中心のアプローチによる情報システム開発

従来の情報システム開発の手法は機能中心(プロセス中心)のアプローチであり、開発対象の業務処理の処理(プロセス)部分に着目し、情報システムを構築する手法であった。

しかし、この方式では業務処理を変更する度に情報システムも変更する必要があり、更にはデータを共用資源とする認識が薄れやすく、データ資源及びデータ資源操作が重複し、データの整合性や一貫性を維持することが困難となる傾向が強く、情報システムの拡張に伴い、深刻な問題となった。

データを処理するプロセスに比べて、データそのものは不変的で安定している。このデータの安定性に着目してデータ基盤を整理していくことにより、効率的な情報資源管理を可能にすることに繋がるとの考え方を適用するのがデータ中心のアプローチである。

現在の情報システム開発においては、データ分析や論理データベース設計にデータ中心アプローチの手法が用いられるようになった。

4) データ中心アプローチによる情報システム開発の基本的な考え方

1] データを分析してモデル化(概念データモデルの作成)することを優先する。

2] モデル化したデータ(標準データまたは正規形データ)の意味や特性を明確にする。

3] 標準データのデータの発生/変更/消滅(データライフサイクル)更にデータ整合性を明確にし、それらの標準プロセスの設計を行う。

4] 標準データと標準プロセスをカプセル化してひとまとめにする。

5] カプセル化したものを利用して応用プログラムを設計する。

データ自体を標準化することによってデータの重複を排除することができるとともに、標準プロセスをカプセル化することによってプロセスの重複も排除できる。更にカプセル化した標準データを標準プロセスの共通資源とすることができるので、結果、効率的な情報資源管理を可能にすることに繋がるのである。

 

 

 

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