Q. N-STARのサービス内容は。?
A. 現状では音声のサービスを主にしているが、なお今後の設計方針としては出力重視の立場をとり、多くの情報を送信する研究を進めている。
Q. 現在のN-STARは4ビームだが、今後拡大する計画はあるのか。?
A. 現在のN-STARは2005年頃寿命が終わるので、次期通信衛星は100ビーム程度のものを計画している。
Q. 船舶における衛星通信は、全世界が対象であり、使用端末の小型・軽量化よりも、伝達速度が高速化され動画の伝送も可能な方が良いが。?
A. NTTの事業方針が、静止軌道衛星を使用して主に日本国内における、高度移動体通信の小型・軽量化を目指している。そのため衛星に搭載するアンテナの大型化及び超マルチビーム形成技術の研究開発を行っている。全世界が対象となると設備投資が膨大なものとなる。もしも、事業方針が変われば技術的には対応は可能である。
Q. 超高精細画像をプリントアウトした際、どのようなプリンタで、また解像度はどの程度低下するのか。?
A. 印刷にPICT3000という高精細プリンタを使用することにより300dpiの印字解像度を実現している。
視覚で個別の点として判別できる画素の小ささの限界は0.2mm(約130dpi)といわれている。発光体では紙に印刷された点、線の場合より遙に解像度が低い。通常の大きさの表示装置の場合2000×2000画素あれば、ほぼその限界に達していることになる。超高精細画像のディスプレイでは0.26mm(約100dpi)が実現されている。
参考:紙の印刷とCRT表示の色調の違いについて。
印刷物からの反射光とCRTからの発光色では視覚的な差が生じやすい。
光学的な比較測定とディジタル補正の技術開発を進め、この差異を軽減する技術を開発中。
Q. 現在開発中の新型アンテナ(金メッキ網状)で電波の送受信効率は変わらないのか。?
A. 張力がないと性能が低下する。曲面の誤差は2.5以内にする必要がある。
Q. 新型アンテを展張する動力は何か。?
A. スプリングの力によって展張するが、その時周囲に張ったワイヤーを小型モーターで制御しながらアンテナの展張をコントロールしている。
(7)おわりに
研究開発センタにおいては、次世代のマルチメディア衛星通信として、高速移動通信、伝送容量の増大化、地上末端装置の小型化を目指して研究開発を進めると共に、情報流通の基盤となる技術開発も進められており、インターネットでの高品質映像サービスや、高速データ伝送等数々の技術開発に基づいた機器の商品化が進められており、現在船舶で利用されている情報通信システムとは格段の差が認められる。現在NTTの事業方針が、静止軌道衛星を使用して主として日本国内をサービス範囲としている関係から、世界中を航海する外航船にとっては、日本近海にいる時しか利用できない。そのため各船はインマルサット経由で外部との情報連絡を行っている。N-STARあるいはインマルサット経由にしても、大型船舶にとっては、末端装置の小型化・省電化よりも通信速度の増大及び高品質で安定した通信サービスが望まれるところである。通信速度が早くなり安定した通信が確保できれば即通信費の節減につながると共に、少数化した乗組員の作業削減にもつながり、船舶の安全に寄与するところは多大であると思われる。