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4.2.2 船社における情報通信システムの現状

大阪商船三井船舶(株)におけるインマルサットA、Bを使用した電子メールシステムの現状を紹介する。

 

(1) 電子メールシステムの構成(図4-3参照)

1] 利用しているシステムは、エキスパダイト・ジャパンの"RYDEX MAIL SYSTEM"(RMS)で、電子メールシステムがない事務所には、テレックス、ファクスによる自動配送も可能である。

2] 陸上側は、インターネット経由(東京本社)で各個人の末端と接続、または専用サーバーからDIAL UP(船管会社)により、RYDEX東京ハブ局と接続している。

3] 船舶側は、インマルサットA(アナログ)船はモデム経由、またインマルサットB(デジタル)船はDIU(Data Interface Unit)経由で通信を行う。

 

(2) 電子メールシステムの利用状況等

1] 国内及び海外の船舶管理会社の管理船を含む同社関係船に1997年末頃から搭載を開始し、1998年末現在約100隻に搭載済である。

2] この内訳は、インマルサットA約80隻、インマルサットB約20隻であり、衛星船舶電話を利用することも検討中である。

3] これまでの利用方法は、船陸間の一般通信の電子メール化が主で、必要に応じて一太郎等のファイルやデジタルカメラで撮影した故障個所の写真を添付している。

また、北米コンテナ船等では気象情報(航路選定支援システム)のデータ伝送にも利用している。

 

(3) 技術的課題等

1] 搭載を開始後、しばらく接続率が良くない船があり、メーカーやKDDの協力を得ながら実験を行なって陸上側のレベル調整を行なう等して、以前より改善されているが、安定的な通信確保するため今後も改良していく必要があると思われる。

2] 通信速度についてはバラツキがあり、インマルサット-AとBの速度差も明確に現れておらず、各機器の調整具合や通信時の衛星仰角等による通信レベルが影響していると思われる。

また、陸側では海岸地球局からホスト局までの回線状態の影響もあり、規格通りの速度で常に通信するのは難しい状況である。

現状の平均的な通信速度としては、圧縮を含めて4800-9600bps程度と思われる。

多量のデータ伝送を行うには、今後さらに高速化を図る必要がある。

3] データ伝送時間以外のハンドシェイク等に要している時間は、30〜50秒程度となっており、通信料金面からも短縮化が望ましい。

 

(4) 効果等

1] 通信料金の削減効果について十分な資料を収集できていないが、これまで入手したものからは、次のような結果となっている。

 

 

 

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