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第五番目の、適度な分散処理の目的は、運用管理者の障害時の負担軽減を目指したものである。高度な分散処理は、機能分析に基づく分散がなされ、システムの管理者が十分な場合は効率よい運用ができる。しかし、船上のシステムにおいては十分なシステム管理者を置くことができず、障害時には陸上からのリアルタイム支援が必要となる。陸船間の十分な通信容量や通信速度を確保できないならば、現状ではシステムの信頼性を重視した、適度な分散処理形態を採用することが賢明である。

分散処理の程度を決める評価項目として、

・ 保守性

・ 管理性

・ 信頼性

・ 処理能力

・ 可用性

・ 機能分散性

などがあげられる。なお、機能分散の基本的なトポロジーとしては、クラスター型とネットワーク型がある。

第六番目の、綜合システム化の目的は、複数のシステムの存在は認めるものの、そのシステムとの結合は機能的で有機的であることにある。従来のシステムは複数のシステムを寄集め的に結合し、その結合の方法、形態がまちまちで、機能的な結合が計られていない。各システムとの入出力形態、媒体を統一し、複数のシステムが一つのシステムのように機能することが要求される。

綜合化のためには、

・ WWW技術の導入

・ AI(Artificial Intelligence)技術の導入

などがあげられる。WWW技術とは、ファイル単位でのデータ転送にとらわれない、複雑なクライアント・サーバー形式のアプリケーションを構築できる分散オブジェクト技術である。システム動作はすべてWWW上で行うことが望ましい。また、AI技術は、知識処理による意思決定、VR(Virtual Reality)によるマン・マシンインタフェース、エージェント指向による情報検索に利用される。

第七番目の、機能フレームの共通化の目的は、システムの基本構造を陸上システムと船上システムで共通とし、システムの信頼性、保守性を高めることにある。さらに、パッケージソフトウェア化することにより種々の船舶への搭載性、船社間および関連業界とのシステム親和性などを高めることができる。船社等の個別事情に関連した機能付加については、ソフトウェア的に機能付加を可能とすることにより対応することができるようにすべきである。情報システムを単なるツール(道具)としてみるのではなく、海運界のインフラとして位置づけるべきである。つまり、情報システムがまず大前提として下部構造にあり、その上に船社、荷主、サービス関連会社、官庁などが上部溝造としてあるような構造を目指すためのコンセプトである。

 

(3) 情報システムの構成とシステム化のボトルネック

提案する情報システムは、

・ 船舶情報システム

 

 

 

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