(イ) 技術基盤の強化
需要構造や労働市場の変化に適応するため、新船型の供給体制及び最新の生産技術の活用能力を確保するための技術力の強化並びに共同の技術開発及び技術提携の促進を図る。
(ウ) 生産基盤の強化
競争力を確保するため、自動化設備投資を促進するとともに、事業提携等により受注及び資機材調達の共同化や生産協力を図る。
(2) 新鋭需要の開拓
当面の需要の激減に対して仕事量を確保するため、高操業の大手・中手造船事業者からのブロック製造等の受注の拡大、地域の実情に応じた新鋭事業分野への進出を図る。
(3) 雇用の安定
需要構造の変化に対応し、雇用の安定に資するため、必要に応じ従業員に対する教育・訓練等を通じた能力開発等を図る。
(4) 上記対策に係る国の支援等
中小造船業の構造改善を円滑に進めるため、中小企業近代化促進法を活用し、自動化設備投資、技術開発等に対し金融・税制等の支援を行うとともに、技術基盤の強化を促進するための所要の環境整備を図る必要がある。また、生産規模の適正化を促進する観点から、造船設備政策の一層の弾力化を行うとともに、企業体力や信用力が低下している転廃業事業者に対し、造船業基盤整備事業協会による土地・設備の買収制度の活用を図る必要がある。
中小造船業の従業者の雇用の安定を図るため、関係省庁、地方自治体等が連携しつつ雇用対策を図っていく必要がある。
III. 関連舶用工業対策
1. 関連舶用工業の現状
我が国舶用工業は、中堅・中小企業を中心に800社強の企業群から構成され、外航船、内航船、漁船等様々な船舶向けの舶用機器を生産しているが、このうち中小造船業が建造する内航船等向けの舶用機器需要は、舶用工業全体では総需要の2割程度(一般に中小舶用工業事業者においては、その割合が高く4割程度)を占めており、舶用工業事業者にとっては比較的安定した操業・収益両面における事業上の基盤となってきた。
このため、昨年秋以降の内航船等の建造需要の激減に伴う関連機器需要の減少は、一昨年来の円高に端を発する外航船向け舶用機器の価格水準の低迷と相俟って、舶用工業事業者の経営基盤の脆弱化をもたらしている。また、中長期的な需要をみても概ね新造船需要に対応した減少が見込まれ、研究開発・設備投資等の停滞による産業の活力低下を招くことが懸念される。
特に、内航船等への依存度の高い中堅・中小企業においては、関連機器需要の減少の影響を受け、経営の悪化が懸念される状況となっている。
2. 対策の基本的考え方
関連舶用工業は、内航船等に良質の舶用機器を安定供給するという役割に加え、喫緊の課題である国内物流改革の推進に向けて、ユーザーニーズに的確に対応したより高度な舶用撥器を供給することが期待されている。