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企業間情報ネット、東京都内中小、構築相次ぐ─受注拡大や業務効率化。 97/11/19 日本経済新聞
東京都内の中小企業が共同で企業間の情報ネットワークを構築する動きが相次いでいる。インターネットを利用した企業内情報網、イントラネットなどを使い製品やサービスの情報を共有し、受注の拡大や業務の効率化につなげる。細かい工程を分担する中小企業のデメリットを解消し、大手企業に対抗する狙いだ。印刷会社の新興グランド(北区)は都内で印刷関連の事業を営む5社と共同受注グループを結成。グループ企業間にイントラネットを敷設し、同社が顧客から受け付けた注文を、ネットを使ってそのまま各社に情報提供する。
例えばプリペイドカードなどの印刷製品を顧客が注文する場合、真空成型や箔(はく)押しなど工程ごとに複数の業者に発注しなければならないことも多い。新興グランドのネットは同社が窓口となって一括受注し、情報を見たグループ企業が自社が持つ技術にあった工程を分担する仕組みで、顧客も注文しやすくなる。
また「各社が個別に受注活動をするのに比べて営業・宣伝などの経費を削減できる」(宮坂一朗社長)。将来はさらに参加企業を拡大する方針だ。工作機械用の工具を設計している日本ソフトエンジニアリング(大田区)は、製造担当のコクシンテックブレイン(神奈川県川崎市)など製品を共同受託し、大手メーカーに供給している2社と総合デジタル通信網(ISDN)で結び、パソコンで作成した工具の設計図などをリアルタイムでやり取りできるようにする。従来は宅配便などで図面を送っていたが、「受注から納品までの期間が短縮でき、業務効率化につながる」(与那覇三男社長)と判断した。11月末にも本格稼働させる。
通信機器販売のピボット(渋谷区)は、オフィスの構内情報通信網(LAN)の設置工事を共同で受注している設計事務所や設備工事会社を結ぶパソコンネットを12月に本格導入する。これまでは設計などの打ち合わせに、3社が集まっていたが、ネットの導入で各社に居ながらパソコン上で図面を確認して打ち合わせができるようになる。