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久々の活況 造船業悲鳴─人材育成へバンク構想  98/12/7 中国新聞

新造船の受注拡大で久々に活気づく因島市や広島県豊田郡瀬戸田町の造船業界が、人手不足に頭を抱えている。求人は200件を超えるが、対象者難から採用は低迷。地域の基幹産業としての存続を危ぶむ声も上がり、因島市で造船技術を学べる場を作って人材を育てる構想が動き始めた。

因島市と瀬戸田町を管轄する中国運輸局因島海運支局には現在、管内の造船大手3社と関連企業30社の求人票202件のコピーが集められている。中には経験者に限らず、溶接などの技術を持たない人にさえ好条件を示す求人もある。しかし、「採用が決まったのは非常に少ない」と、中西直樹支局長は残念がる。

尾道職安因島出張所によると、両市町の今年1月から10月までの有効求人倍率は平均0.87倍。造船関連が大部分を占める金属溶接加工・溶接溶断業をみると、新規求職申し込み261件に対し、新規求人は996件と3.82倍。うち就職できたのは145人にとどまった。

「業界が求めているのはまず若い人材」(藤井正義所長)だが、進路や就職で島を離れる若者が多く、即戦力となる経験者も中高年者に絞られる。県外からの新卒採用を増やしたり、南米や中国の研修生を迎えたりする企業も少なくない。

従業員の高齢化は深刻。因島海運支局が7月、管内222社を対象に実施したアンケート(回答117社)によると、40歳以上が76%に上った。中西支局長は「このままでは10年後、因島周辺の造船業は危機的な状況を迎える」と危ぐ。業界や行政に「人材バンク構想」を提唱した。

地元の若者やUターン就職を考える人を対象に造船関連企業に就職するための必要な技術を教え、同時に熟練技術の継承も図る場を設置する、という構想だ。

これに呼応し11月末、造船業界や市の代表ら11人が集まり「因島技術センター」(仮称)設立準備委員会を設置。7日開会の市議会定例会に上程される一般会計補正予算案には、設立を検討するための予算200万円が盛り込まれた。

岡野敬一市長は「市の基幹産業を守るためにも全面的に支援していきたい。来年の設立を目指したい」と意欲を見せている。

 

 

 

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