日本財団 図書館


12] 造船・舶用関連の技術研修・人材育成センターの設立

[趣旨・目的]

中小造船・舶用工業の現場では、技術者・技能者の高齢化が急速に進み、これらの人々の退職後にいかに現場の技能を維持していくかが大きな問題となっているが、各社の社内教育体制による対応だけでは、将来に向けた世代間の技術伝承、人材育成は非常に困難な状況となっている。

こうした状況を克服するため、造船・舶用関連における、地域の中核的な人材育成センターを設立し、大手企業や試験研究機関、その他関係機関の協力のもと、個々の事業者では対応できない、体系的な研修プログラムを継続的に実施していくものである。

[概要]

○ 技術研修・人材育成センターでは、転職希望者、新卒者をはじめ、技能未習熟な若手工員、国内で研修中の外国人などを育成の対象とし、対象者の技術レベルに応じて、育成カリキュラムを用意する。

○ スタッフは、大手・中堅企業の熟練した技術者・技能者を中心に編成し、必要に応じて大学や工業高校の教員、公設試験研究機関の研究員等を非常勤で招聘する。使用する設備についても、企業の未利用設備や公設試験研究機関の設備の活用を図り、新規投資の軽減を図る。

○ 研修を終え、実際に中小造船所・舶用工業事業者に就職した人材の職場への定着化を図るため、研修費用への奨学金制度の導入等を検討する。

○ こうした技術研修及び人材育成に関するセンターの設立構想については、広島県東部地区の因島地域において今年度より検討が進められている。当面は因島地域を対象に当構想の実現化を目指し、その後、広島県東部地区及び中国地区全体の中核的なセンターとして、段階的なレベルアップを目指していく。

[センターの機能]

技術研修・人材育成センターにおいては、以下のような機能の整備を検討する。

(人材育成機能)

・ 転職希望者、新卒者など初心者を対象とした基礎的な技術研修

・ 企業の若手工員を対象としたより高度な技術研修、熟練技能の伝達

・ 各事業所の社内教育体制に関する相談・助言(育成アドバイザー)

・ 将来に向けた技術の伝承

(情報発信機能)

・ 就職希望者への企業の採用情報の提供、斡旋

・ 企業への関連研究機関等の研究者情報の提供

(交流促進機能)

・ 企業の技術者・技能者同士の交流の場の提供

・ 企業の技術者・技能者と学校の教員、研究機関の研究員などとの交流の場の提供

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION