(4) 将来像「環境調和型産業」を実現するための方策
将来像「環境調和型産業」を実現するための方策について、3つの基本的方向に基づきながら以下のように設定する(各方策のカッコ内は対象業種及び地区を表す)。
[方向1]] 海洋環境関連分野における事業創出の推進
○ 新規事業創出のモデル事業の検討 (造船・舶用/各地区)
これまでに蓄積してきた造船・舶用関連の技術が活かせるとともに、海洋関連分野をはじめとして、今後需要の増大が見込まれる事業分野の中から、各地区で基本テーマを設定し、そのテーマのもとで新規事業創出に取り組むことを検討する。
各地区の基本テーマとしては、以下のような例が考えられる。
(山陰地区)
・ 海洋レジャー・レクリエーション関連
隠岐周辺をはじめとした観光遊漁船が増加傾向にある。現在のところは、観光遊漁船としての新造船の発注はなく、漁船を改良して使用されている状況であるが、レジャー・レクリエーション活動の活発化に伴い、この分野での今後の需要の拡大は十分見込まれる。
・ 資源管理型漁業関連
漁船による漁業の低迷が続いているが、これまでの漁業者とのつながりを活かし、資源管理型漁業への展開が考えられる。これらの分野への地区内の中小造船所や舶用工業事業者の関心も高く、鳥取県産業技術センターでは、栽培漁業を展開するための施設設備の開発製造分野への進出の可能性が指摘されている。
(岡山県地区)
・ 海洋エネルギー関連
環境問題とも絡んで、クリーンな海洋エネルギーの開発は今後発展が見込まれる事業分野であり、これらの分野への地区内の舶用工業事業者の関心も高い。潮流や海水温度差、塩分濃度差、波力などの海洋エネルギーを利用した発電プラントの建設などで大きなポテンシャルがある。
・ 資源管理型漁業関連
岡山県工業技術センターでは、海洋牧場などアルミ合金を用いた構造物の製造分野への進出の可能性が指摘されている。
(広島県東部地区)
・ 海洋レジャー・レクリエーション関連
「瀬戸内しまなみ海道」が1999年5月に開通予定であり、沿線地域におけるレジャー・レクリエーションの活発化が期待される。海釣り公園の整備や観光遊漁船提供業、クルーズ・遊覧船事業、その他海洋関連の観光事業などのポテンシャルがあると考えられる。