(3) 将来像「ネットワーク型産業」を実現するための方策
将来像「ネットワーク型産業」を実現するための方策について、2つの基本的方向に基づきながら以下のように設定する(各方策のカッコ内は対象業種及び地区を表す)。
[方向1]] 他企業との連携・共同化の強化
○ 研究開発基盤の集約的整備 (造船/中国地区全体)
次世代の事業創造や環境・安全問題等に対する社会ニーズへの対応を図るため、大学、公設試験研究機関等との連携のもと、中小造船所の研究開発資源を結集し、造船・海洋技術に関する研究開発基盤を整備する。
○ 設計部門の分離・共同化 (造船/中国地区全体)
人員面・効率面から設計部門の維持が困難な造船所について、設計部門の建造部門と設計部門の分離を行い、建造部門については各造船所の独自性を確保しながら、既存の設計会社を含めた設計部門の共同化を進め、人件費の削減、業務の平準化・効率化を図る。
ただしそのためには、各造船所が設計部門を手放しながらいかにオリジナリティを維持するかという基本課題とともに、設計会社からの図面流出の防止や、設計能力のレベルアップなどが当面の課題として挙げられ、これらの解決のために関係者の間で検討を行っていく。
○ 建造部門の協業化 (造船/中国地区全体)
建造部門について、可能なものは、設備の共同購入・共同利用などを通じて企業間の協業化を進め、投資負担の軽減化、設備稼働率の確保、建造体制の効率化を図る。
○ 受注及び資機材調達の共同化 (造船/中国地区全体)
各造船所の連携により、建造・修繕の共同受注、資機材の共同調達を推進し、受注先の拡大、業務の効率化、コストダウンを図る。
○ 各種交流会の実施 (造船/中国地区全体)
同業者における情報交換の場として、経営者による定期的な会合に加え、若手経営者や技術者の勉強会などを開催する。
[方向2]] 試験研究機関等との交流・連携の強化
○ 公設試験研究機関等の活用 (造船・舶用/中国地区全体)
技術開発・製品開発に取り組むに当たっては、各県の公設試験研究機関が有する設備や、技術指導・人材育成プログラムなどを積極的に活用するとともに、産業技術振興に関わる各種支援機関の技術開発促進事業、技術相談、貸研究室、大学等へのコーディネートなどの支援メニューを活用する。
○ 大学、公設試験研究機関等からの情報収集活動の強化 (造船・舶用/中国地区全体)
大学、公設試験研究機関等の有する技術情報を収集するため、これらの機関の主催する交流会、交流サロン、研究会などへの参加を推進する。また、具体的な技術相談がある場合は、こうした研究機関への相談窓口にもなっている国立大学の地域共同研究センターのコーディネート機能や、研究者情報データベースなどを活用し、個々の研究者に直接アプローチを図ることも考えられる。