産業集積としての発展を目指す「ネットワーク型産業」
これまでの“一国一城の主”的な意識から脱却し、共同・連携の意識改革を進めるとともに、アウトソーシングの先導的産業として、関連企業との役割分担の強化や、同業者との共同化・横の連携の強化を図ることによって、造船・舶用工業のアライアンス(相互の連携・協力・補完)の緊密化を図る。同時に、外部の試験研究機関等との交流・連携を強化し、これらを含めたネットワーク型産業の構築を図ることによって、産業集積全体の効率化・競争力の強化を目指すものである。
1] 他企業との役割分担と連携・共同化を強化する
内航船を中心とした船腹の供給過剰により、地域全体での量的な事業縮小が避けられない中で、地域全体の供給能力の質的な向上を図り、地域としての競争力を高めるため、各事業所の得意分野をもとに、他企業との役割分担と連携・共同化を強化する。
2] 外部の試験研究機関等との交流・連携を強化する
これまで培ってきた船舶建造技術や溶接技術、機械加工技術などの技術力を高度化するとともに、新たな製品開発や事業創出を支える技術開発力を強化するため、各県の工業技術センターをはじめ、国公設の試験研究機関、大学、工業専門学校、商船専門学校などの関係機関との交流・連携を強化する。
瀬戸内海・日本海の海洋環境と共生する「環境調和型産業」
これまでの海洋土木等の事業多角化の方向に加え、新たなビジネス・ドメインの開拓の一つの柱として、「環境」をキーワードとした事業分野の開拓を目指すとともに、地球環境時代におけるライフサイクル型産業としての展開を目指すものである。また、生産過程や製品使用時における環境対策についても取り組みを強化していくものである。
1] 造船・舶用固有技術を活かし海洋環境関連分野などにおける事業創出を推進する
本業を補完し、安定的な経営を図るとともに、あらたな事業創出を通じて地域の社会・経済に貢献するため、流体技術など、本業の造船・舶用工業分野で培ってきた技術を活かし、海洋環境改善・浄化、海洋エネルギー、海洋空間開発、資源管理型漁業など、海洋環境関連をはじめとした分野において事業創出を推進する。
2] 海事サービス業として修繕船業を高度化する
従来、設計・製造で利益を得てきた製造業において、地球環境問題の顕在化を背景に、製品のライフサイクル全般を対象としてサービスを提供することによって価値を創出するライフサイクル業化への動きが見え始めており、こうした動きを先取りする産業として、造船業において修繕船業の強化・高度化を図る。