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[舶用課題6]] 多角化部門の育成

中国地区の舶用工業は、中小造船業に比べて多くの事業所が新規需要の創出・事業多角化に取り組んでおり、今後の取り組み意向も極めて高い。その事業分野は、産業機械、建設資材、環境装置、リサイクル、情報通信、福祉機器など多岐にわたっている。比較的規模の大きい事業所では、舶用部門とは無関係の事業分野に進出しているところも多いが、規模が小さく、経営資源の制約が大きい事業所では、舶用部門において有している技術・ノウハウを活かせる事業分野への展開を志向する傾向が強い。

特にこうした小規模の事業所では、他の事業所等との連携のもと、新たな事業分野を開拓を図るための環境づくりに取り組むことが必要である。

 

[舶用課題7]] 情報収集力の強化

舶用工業は、造船業に比べて多角化が進展しており、他業種との接触の機会も比較的多いと思われるが、今回のアンケート結果を見ると、異分野の市場に関する知識については、中小造船業と同様、弱みを感じている事業所が多い。また、一口に舶用工業といっても、業種構成が多岐にわたっていることもあって、同業者の横の連携についても、中小造船業と同じように疎遠な状況にあるのが現状であり、舶用工業会のメンバーとはほとんどつき合いがないといった事業所も珍しくない。こうしたことから、舶用部門の強化を図る上でも、新規需要の創出を目指す上でも、まず関連する情報を幅広く収集することが必要である。

 

(ヒアリング・アンケートで提示された意見[抜粋])

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[舶用課題8]] グローバル化・国際化

比較的規模の大きな舶用工業事業者では、舶用製品の輸出、資材の輸入などに積極的に取り組んでおり、海外での現地生産、途上国への技術コンサルタントなども、ごく少数ではあるが実施されている。しかし、全般的に見ると、製品の輸出入を行っている事業所は全体の15%程度にとどまっており、中小造船業と同様、グローバル化・国際化に関する取り組みはあまり行われていないのが現状である。

しかし、大手造船所を中心に、韓国や中国などから舶用製品の海外調達を増やしつつあり、これらの下請・関連企業でも新たな対応に迫られている。経営資源の制約が大きい中小企業においても、事業所間での協力・連携による組織的な対応を図りながら、可能な範囲で取り組んでいくことが望まれる。

 

(ヒアリング・アンケートで提示された意見[抜粋])

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