[造船課題5]] 新たなビジネス・ドメインの開拓
今後の造船市場を展望すると、中国地区の中小造船業の主要マーケットである内航船市場、漁船市場は中長期的に需要の拡大は見込めず、VLCCなどの大型船の代替需要も2002年以降、減退期に入る見通しとなっている。こうした中では、現在の全ての事業所が、差別化による本業の優位性を確保し、造船専業で生き残っていくことは困難であり、経営の安定化を図るためにも、造船業で培った技術や設備を活かしながら、新規需要の創出・事業多角化を図ることが必要になっている。
一方、中国地区の中小造船業では、異分野の市場に関する知識や他企業とのネットワークなどの多角化に関する経営資源について、弱みを感じている事業所が多くを占めており、新たな事業分野の開拓を図るための環境づくりを進めることが必要である。
[造船課題6]] 造船能力の調整と集約化
建造能力の過剰傾向が強まり、運輸省では98年度から中小造船事業者を対象にした設備の買い上げ事業が進められている。こうした中で、中国地区の中小造船業の集積を維持し、競争力を確保していくためには、量的な能力調整を超えて、質的な向上を伴った造船能力の集約化・共同化を自発的に進めることが必要である。