なお、業務の補完・連携には当たらないが、大手造船所との事業関係として、船体ブロックの受注について見てみると、大手造船所では、仕事量が多くて自社内で対応できない部分についてのみ外注に頼るというのが基本スタンスとなっている。外注に出す場合、外注先は主に中四国や九州(大分県の佐伯など)の造船所が利用されているが、これらは従来の取引関係から固定化されている所が多い。また、ブロックの大型化に伴い、小手造船所におけるクレーン能力の限界を指摘する声も多く聞かれる。そのほか、発注先の条件として、トータル的な価格の安さをはじめ、品質の確保、ジャストインタイムの納入など、厳しい条件をクリアすることが不可欠とされており、中小造船所にとっては解決すべき課題が多い。
[造船課題4]] 高度情報化による業務革新
生産性向上、経営効率化等を図る上で、高度情報化への取り組みの重要性はますます高まっており、これまで以上に情報化への取り組みを推進することが求められている。
一方、中国地区の中小造船業の状況を見ると、情報化が進展している造船所では、事務管理と設計部門の情報化が完了し、生産工程の情報化や全部門の統合化に取り組みつつあるが、こうした所はごく一部にとどまっているのが現状である。大部分の中小造船所では、情報化の取り組みはあまり活発でなく、近年の社会全体の急激な情報化の流れの中で、ほとんど進展が見られない状況である。
こうした状況を打開し、各造船所において高度情報化を進めていくためには、技術者・技能工確保の制約が高まる中で、情報化を進めていくことが必要不可欠な条件であるということを各造船所が十分認識するとともに、業界団体を中心に協力・連携を図りながら、計画的な取り組みを進めていくことが必要である。