日本財団 図書館


[造船課題2]] コスト競争力の強化

独自の技術やノウハウをベースに差別化を図ることが、規模のメリットの面で大手・大手造船所に劣る中小造船所が取るべき基本的な戦略であると考えられるが、一方で、いずれの船種・船型においても市場のグローバル化の中で、競争が激しさを増していくのは避けられず、コスト競争力の強化は中小造船所においても必要不可欠な要素である。中国地区の中小造船所の間でも、コスト競争力の強化は最も関心の高い課題の一つとなっている。

今回のアンケート結果においても、間接部門の経費削減や在庫の削減・回転率の向上、資材価格や外注単価の引き下げの要求など、いわゆる従来型のコスト削減策については大部分の造船所が取り組みを行っているあるいは検討したいと考えている。特に、人件費の削減がなかなか進まないことが、コストダウン推進の大きな阻害要因となっており、各企業が対応に苦慮している状況が窺える。

こうした中で、今後さらなるコスト削減を進めるためには、これらの取り組みに加え、新たな技術・システムを活用した取り組みや、外部経営資源を活用した取り組みなどについても、前向きに検討していくことが必要である。

 

(ヒアリング・アンケートで提示された意見[抜粋])

118-1.gif

 

[造船課題3]] 技術開発力の強化

中国地区の中小造船業では、総合的な船舶建造技術や溶接技術などで高い技術力を有しており、今回のアンケート調査でも、各事業所は自社の技術力を概ね高く評価している。

しかし一方で、新たな製品の開発や新分野への進出に不可欠な技術開発については、継続的に実施している事業所は16%にとどまっており、計画・検討中の事業所を合わせても3割に満たない状況となっている。

これらの状況は、技術者や技能工の問題というよりもむしろ、技術開発の体制や資金力、技術に関する情報収集力、他企業等とのネットワークなどが弱いことなどが原因となっているが、これらの強化は個々の中小造船所では困難な面が多い。

従って、大学や公設試験研究機関、大手造船所などの協力を得ながら、他の事業所との連携によって、技術開発の体制を強化していくことが求められる。しかし、こうした取り組みは、その困難さからあまり積極的ではない造船所も少なくないので、可能な範囲から徐々に取り組みを広げていく工夫も必要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION