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2] 新船建造による地域への経済波及効果

中国地区の中小造船業の生産活動は、原材料の購入等を通じ、地域の他産業の生産活動に影響を与えている。そこで、中小造船業の新船建造による生産誘発効果について、産業連関表を用いて試算を行った。

平成9年度の中国地区の中小造船業の建造額(直接需要額)は、388億円である。これらは、原材料の購入を通じて関連産業の生産を誘発するとともに、雇用者の所得を増加させ、この所得増加に基づく消費支出の増加はさらに関連産業の生産を誘発する。この結果、中小造船業の新船建造による総効果は660億円と推計され、建造額の1.7倍の波及効果が中国地区内にもたらされることとなる。

これらの効果を業種別に見ると、特に直接的な関わりの深い鉄鋼業への生産誘発効果が大きいのが目立つが、これに加えて消費増加を通じた商業や不動産業への波及効果も大きく、中小造船業の生産活動が地域産業へ広範な影響を与えていることが分かる。

 

中小造船業の新船建造(平成9年度)による中国地区内への経済波及効果

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(注)

1. 中国通商産業局「平成2年中国地域産業連関表」より試算。

2. 「直接需要額」は、中国地区の中小造船業(建造能力1万トン未満)の平成9年度の建造額。

3. 試算においては、図中の46部門のうち「その他の輸送機械」に直接需要額を投入して算出した。

 

 

 

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