(8) 中小造船の地域経済への影響
1] 地域経済における位置づけ
中国地区の地域経済における中小造船業の重要性は他地区に比べて大きい。特にそれは瀬戸内海島嶼部の市町村において顕著である。中小造船業の新造船出荷額が出荷額全体に占める割合は、広島県、愛媛県をはじめとした瀬戸内海島嶼部の市町村が全国の上位10市町村の大半を占めている。また、従業者数の面でも同様で、なおかつ工業従業者全体に占める割合は極めて高い。広島県の大崎上島3町、山陰地区の美保関町などでは、軒並み5割を超える高い割合を占めており、中小造船業は各地域において、特に雇用面で大きな役割を担っていると言える。
また、より広域的に、各工業地区(工業統計表で設定)における造船関連産業(大手造船、舶用等を含む)の位置づけを見ても、瀬戸内海沿岸部をはじめとした地区において、自動車産業や鉄鋼業などと並ぶ重要な地位を占めていることが分かる。特に広島県の備後地区や芸南地区では、「鋼船製造・修理」が業種別出荷額の2位を占めており、産業集積度の高い広島湾地区や岡山県南地区においても上位を占めるなど、地域産業の重要な柱の一つとなっている。