(2) 通関業者の業務の制限
貿易業務を行える者が限定されていることもあり、自社の輸出入通関業務は自社内で行うのが原則である。現在は、資本主義的経済原則が導入され、日本のような「通関」を「業」として行う企業が見られるようになりつつあるが、それは例外に属し、通関業者は税関への書類提出、保税輸送の手配等を行うのみであり、輸出入者の名において通関書類作成を行うことは一般的ではない。
あくまでも通関は、輸出入者が行う自己通関が主体である。そのため輸出入者は、自社の職員に通関士の資格を取得させるのが一般的であり、通関業者は税関申告の荷主代行者であるに過ぎない。
したがって、日系運輸業者が通関についてサポートできる範囲は限定的であり、荷主企業の通関に係る問題への介入等が要請されても、応じられる範囲は少ない。
しかし、近年、上海等では申告の質を向上させたいとする税関側の意向から、「プロ」である通関業者の育成を図ろうとする傾向が現れている。そのため、他人の輸出入申告全般を代行する、わが国の通関業者と同様の業者が出現してきており、今後、日本的な税関、通関業者、荷主の3者関係が、構築されていく可能性がある。