第6章 中国の通関制度
1. 通関制度の特徴
中国の通関の特色として、次の4点をあげることができる。
1. 「貿易者の限定」
・ 輸出入業者となるためには、「貿易権」にある企業のみ輸出入貿易が可能である。
2. 「通関業者の業務の制限」
・ 輸出入通関は輸出入者が行うのが原則である。
3. 「独特な保税輸送」
・ 着側の承認が必要であり、これを発税関に提示する必要がある。
・ 保税輸送禁止品目や通関地の限定がある品目が存在し、保税輸送の制限を受ける。
(1) 貿易者の限定
事業者が輸出入者として、貿易を行うには対外経済貿易部の認可を受ける必要があり、その「権利」を有さない事業者は「貿易」を行うことができない。したがって、わが国のように「誰でも自由に」貿易を行うことができる体制にない。
また、貿易品目も限定される。外資系企業の場合、貿易可能な品目は基本的には、輸入については製造に必要な原材料等や部品等に限定され、輸出はその製品に限定される。数量枠も定められ、それ以上の輸出入は不可能であるのが原則である。そのため、輸出入者には品目の枠内数量の消し込みによる厳密な記録責務が求められる。
この枠以外の品目の輸出入を行う場合は、該当品目の輸出入権を持つ業者との国内取引によらなければならない。
このような貿易の制限は、自由貿易体制への移行を目指す上での障害となっている側面を否定できず、近年中にこの制限が撤廃されることが予定されている。