(2) 五定列車
従来、中国における鉄道輸送は、旅客輸送ではダイヤによる定時運行は行われていたものの、貨物輸送はダイヤに従った輸送は行われていなかった。しかし、鉄道輸送の様々な改革の一つとして、97年10月より貨物列車のサービスレベルを旅客輸送同様にまで引き上げる政策が打ち出された。この具体策が「五定列車」である。
「五定列車」の「五定」とは貨物列車の
1] 発着駅
2] ルート
3] 車両運行番号
4] 発時間
5] 運賃
の5つの要素であり、これらを確定することにより定期性・定時性を確保しようとするものである。
運行開始後約1年ほどの実績評価としては、天津、連雲港進出の日系フォワーダーへのヒアリングによると100%ダイヤが遵守されたとはいえないものの、ほぼ守られているとのことである。
そもそも、従来、貨物列車にはダイヤによる定時運行というシステムは存在しなかったが、旅客輸送においては日本と同様に、ダイヤによる定時運行は行われていた。また、貨物輸送(特に海上コンテナ)においては、94年12月から鄭州─香港間に海上コンテナ専用列車(80TEU)が定時運行されていた。
このように鉄道定時輸送は、まったくのゼロからのスタートではなく、相応のノウハウ等の蓄積があっての「五定列車」の実施といえる。