3. 鉄道輸送の変化
(1) 鉄道部の変化
中国の鉄道は、以前は「国有鉄道」として、国家の輸送計画を忠実に実行するオペレーション部門であったといえる。しかし、近年の開放経済下において大きく環境が変化した。
従来は鉄道部の仕事は中央の命令の執行機関に過ぎなく、設備も国の資金により整備し、運賃収入は国庫に納入されていた。そのため、中央で作成された計画をそのとおり実施することが重要であった。
しかし、近年の改革諸政策は鉄道の構造改革もうながした。すなわち採算性を重視し、路線等のインフラ整備は国家により行われるが、車両等の整備は鉄道局が自分の収入から行うというように独立採算的な対応が要求されるようになった。
そのため鉄道部も全国ネットワークを生かした市場経済への対応へと向かっていったといえる。
例えば、鉄道部は単なる輸送のみでなく
1] 車両製造等の施設充実
2] 燃料等の物資調達
3] 旅行や対外サービス(通関やフォワーダービジネスとの連携はこの部門で扱う)
といったビジネスも手がけるようになっており、以前は「政治」との関係維持が大きな任務であった管理部門でも、運輸計画の立案、マーケッティング、料金の設定を統合して行う部門となった。
このように鉄道輸送はサービス産業としての方向性を強めつつあり、サービス水準の上昇が至上課題となっている。その例として国際輸送の分野では中国国内を経由して中央アジア、欧州にまで達する「チャイナランドブリッジ」構想をあげることができるし、国内においては定期スケジュールで貨物輸送を行おうとする「五定列車」サービスの開始があげられる。