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また、リードタイムをみても

1] 距離のわりに長時間を要する。

日本(神戸)〜上海間と上海〜武漢は同程度の距離であり、日本〜上海が3日程度であるのに比較して、トランジットタイムが長すぎる。

2] 所要日数にばらつきがある。

ばらつきの傾向は上流(長距離)になるほど顕著である。

 

図表2-2. 長江流域都市の上海からの距離と所要日数

006-1.gif

出所)図表2-1.に同じ

 

このような状況から、日系荷主企業の物流に長江物流は広く利用されているとは言い難い。例えば、重慶の日系オートバイメーカーや自動車メーカーの部品供給は、いまだ香港経由の鉄道輸送が主流であり、長江水運に依存していない。また、武漢周辺にある繊維関連進出メーカーも、上海経由の自動車輸送の利用が増加しつつあり、日系荷主企業が長江を利用する事例は、鉄鋼等のスポット以外はあまりみられない。

なによりも、トランジットタイムが長く定時性に問題があることが、ジャストインタイム等のサービスを要求する日系企業のニーズに合致していないことが、長江水運の利用が少ない理由と考えられる。

このような長江水運の利便性の欠如は

1] 航路の問題

2] 港湾の問題

の2つの原因により発生しているといえる。

 

 

 

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