3. 長江水運の問題点
(1) 航路の問題
長江の水路状況は次ページのようにまとめられるが、長江の上中流域(武漢より上流)の航行条件に制約が多く、以下のような問題点が指摘できる。
1] 水深の問題
水深が浅い。したがって、大型船が航行するために必要な水深が確保できない。特に渇水期には、底の浅い本船が準備される必要がある。
2] 水位差の問題
河川舟運の場合、安定的な輸送が提供されるためには、水量が安定的である必要がある。しかし、長江の場合、渇水期と増水期の水位差が大きい。ちなみに武漢で20m、重慶では30mの水位差がある。
この水位差の存在は
・ 恒常的な本船サイズや積載量の航行を保証できない。
・ 渇水期と増水期は航行が難しい。
という河川水運上のデメリットをもたらしている。
3] 航路幅・川の蛇行の問題
この地域は航路幅が狭いところも多く、最も狭いところでは40mしかない。また蛇行し、大きく曲がりくねっているため操船が難しい。
4] 天候の問題
長江蛇行部分においては霧が多発し、航行上の阻害要因となっている。
このような諸要因により、上中流域には外航船がダイレクトに寄港できず、河口部で、この流域を航行可能な本船に積み替える必要ある。そのための作業時間もトランジットタイムを長くする要因である。