日本財団 図書館


で、こういう風に現場にカメラが行けない場所とか、過去に起きたeventとか、絶滅したり、深海底にいる生き物とかですね、普通実際にはちょっと見ることが出来ないものって言うのを映像化して行く事で、伝えたいテーマに近づいて貰うと言う、そういうentertainment的な要素もあると思うんですけれども、そういうものを有効に使う事で、先程申し上げた地球環境問題を是非考えて貰いたいというのが狙いな訳です。

 

こう言う映像化というのは、今、degital effectが非常に発達してきまして、昔ですとすごくお金が掛ったんですけれども、今はかなり低コストで、しかも時間的にもかなり早く出来るようになったと言う事が1つあると思うんですけれども、こういう映像化というのが果たしている役割というのは大きいと思うんですね。

もちろん、私どもは、そのことは理解してるんですが、こういう形で画をつくりますと、特に視聴者の方々は、それでイメージを固定してしまうっていう問題があって、これはいつも我々が悩んでいるとこなんですが、特に過去の動物とか、我々としても表面に色を付けたりしますよね、すると、恐竜なんかもそうですが、こういう色だったのかという風に思われちゃうとか、実際には誰も確認してる訳では無いんで、どんな色だったかと、分からないんですけれども、そういう意味で両方のメリットもあるし、非常にデメリットもあるという事は理解しているつもりなんですけれども、それを踏まえた上で、あえてギリギリどこまで分かっているのか、ということを常に研究者の方々に聞きながら作っているという事でございます。

 

こういうシリーズの中で、特にそういう、visualizationというのを活用して、今、海底火山の話からCO2の循環の話をしたり、それからプランクトンの話をしながら、非常に、まだよく分かっていないリンの循環とか、そういう話をしたり、メタン・ハイドレートみたいな最近チョット脚光を浴びていますが、ああいう話をやってみたいですね。

いろんな意味で、ちょっと難しくて話を聞いただけでは分からないけれども、是非こういうものが有ると言う事を知って欲しいというものをこのシリーズの中で入れて行ったつもりです。

それと、先程も少し触れましたけれど、視聴者の方がどういう風に見たかという事を簡単にご紹介しますと、これは私どもの意図通りで非常に嬉しかったのですが、色んな反響がありましたけれども、大体8割くらいの人が初めて知ったとか、それから解説の手段として特撮とかCGとか、そういうものに対して非常に高く評価して頂きました。で、皆様が多分嬉しがると思う様な事を幾つか引用させて頂きますが、

「今迄、海洋科学に関する紹介が少なくて、華やかに報道されている宇宙探検に対して、随分冷遇されている感じがしたけれども、この番組を見て拍手喝采をしたい気持ちだ」という方もいましたし、

「海もそれから、海の生物もまた謎だらけ、だと言うことを改めて思った、そして研究者達がとても地道な作業をコツコツやってくれたお陰で、その成果がこの様な番組に生かされて私達の所まで届けられるのは本当に有難いことだと思う。」

「その世界での第一線にいる科学者、技術者の努力の結果をこんなに分かりやすく説明して貰ってありがたいというか幸せだと思う。」

結構、一般の方々は、特にそうだと思うのですが、海に関してどういう研究がされているのか、とか一体何が分かって、何が分からないのか、ということは当然の事なんですけれも、普通は余り考えもしませんし、非常に遠い存在なんだと思うんですね、で、我々特に科学番組を作っている者としては、いつも、そのことが気になりまして、テレビですから面白く無ければなかなか取り上げにくいということもありますし、こういう一般の人達と研究者の方々の1つの橋渡しになれればな、という風には思っております。

 

それから、先程も申し上げましたが、メディアの役割という事を考えた時に1つ、海なんか、特にそうなんですが、皆さんの研究の専門の分野って非常に狭くて、限られた部分で皆さんやってらっしゃる訳ですよね、そうすると、我々、時々体験する事なんですけれど、学際的なと言いますか、ちょっと関係はあるんだけども直接の専門分野ではないという方々は、以外に他の専門分野の事をご存知ないと言う事が結構あって、で我々はその番組を作るときには、ある種の1つのストーリーを作っていきますので、そうすると、どうしても1つの専門分野の所ではストーリーというのは、なかなか、作りにくいのですね。視聴者の立場に立ってみれば分かるんですけれども、それが一体どういう意味があるのかとか、それは一体人間の未来とか、それこそ地球の環境とかに、どういう関りがあるのかと言う事も、常にやっぱり考えて見るでしょうし、それから、すごい映像があるとかって事もあるでしょうけれども、基本的にはそういう形で我々は作るものですから、どうしても、その間を我々が繋いでモノを作って行くっていう感じがいつもしています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION