(FIG-16)
それで、興味深いのはこの結晶水と申しますか、ハイドロシリケートのオオハキ(OH基)を作っている結晶水、それから、マグネ、鉄の酸化銅を表したもの、その間の関係で有ります。
基本的には、H2Oプラスとマグネはよく相関しております。これは、葛根田花崗岩体以外は、殆どの地層というのは、中心線のグリーンタフ変質を受けております。
そのためにそれらの、ハイドロシリケートの最も主要な鉱物というのが、緑泥石(クリーライト)である事を反映しております。ところが、細かくみますと、この部分、つまり、接触変成帯の部分だけは、マグネシウムとH2Oプラスでは、勾配がちょっと違っていまして、水は花崗岩体に向かって急勾配で減少しております。これは、グリーンタフ変質のあと、さらに接触変成作用が行ったことによって、脱水反応が起こったことを示していると思われます。それから、水は透水性の良い所、つまり逸泥帯で、負のアノーマリーを示しています。これは、この様に考えられます。つまり、透水性が良い所では、間隙水のpressure(圧力)というのは上がらない。Hydro static圧よりは容易には上がれない。と言うのは、透水性が良いからです。ところが、逆に透水性の悪い所では、しばしば、間隙水の圧力が、Hydro staticからlitho staticに近づきうるという事で、こういう関係が出て来ているものと思われます。そして、この水のプラスと全く逆の相関関係を示しているのが、酸素分布を示すようなこのratio、鉄の2価、3価のratioであります。
(FIG-17)
この関係というのは、ただ今の水のプラスと、それから酸素分圧の関係というのは、この様な反応にコントロールされていると考えると説明出来るように思われます。つまり水が沢山あると、反応がこちらに進んで粘土鉱物を作り、鉄はむしろ還元されるという風な関係であります。
(FIG-16)
その様に見て行きますと、水の大きくへこんだ所は、それから酸素分布の大きく出っ張った所、これは葛根田地域に於ける浅部貯留層と深部貯留層を表していると見られます。
(FIC-18)
花崗岩体に注目してみますと、これは、ここが地層と花崗岩体の貫入面であります。それより下を見て見ますと、これは、ホッタシュウ・カルシウムですけれども、実はこの花崗岩体に2973m、このゾーンには、偶々コアが有りまして、その3mのコアの中の1mの範囲にわたって空隙が出来ております。mialoclaticという様なものが出来ております。これは花崗岩体としては、割と稀な現象であります。ただし、その厚さは、肉眼的に見る限り1mしか無いのでありますが、この様に色んな元素を較べてみますと、ここが、珪元素の濃集体であるという事、あるいは、ボラタイル元素の濃集体であるという事、そして、その深度interval(間隔)も単に1mというオーダーではなくて100m位に渡って、そのアノーマリーが在るという事が分ります。この事はつまり、先ず、岩体が貫入した時、上の50m位のlayerは比較的に早く固まって、そのあと、マグマ内のconvection対流に拠りまして、ボラタイル、珪元素が、この当たりに濃縮したものだという風に思われます。
(FIG-19)
これから、葛根田地域に於きましては、深部の貯留層というのは大体花崗岩体と、その上の地層の境界付近に発達すると言われております。しかし、より細かく見てみますと、このまん中が境界ですので、逸泥帯とかですね、injectionの時のinjection pointだとか、生産point、色んなものが、細かく見ると、完全な境界よりは、やや花崗岩体の内側に入って集中しているという事が分るかと思います。しかも、samplingviasが荷っておりますので、その事を考えるとさらに内側にピークがあるものと思われます。ですから、深部貯留層の間接的な成因としては、先程述べたようなcavity(空隙)のゾーンが関係している可能性が、こう言った事から想像されます。