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我々は何からん藻類と言うのを敵の様に思っていますが、実はラン藻類と言うのはスーパー生物と言いますか、非常に極端な環境に、大変栄養の高いところに生きる事が出来るし、大変栄養の少ないところにも生きる事が出来る。その中でシアノバクテリアの中には栄養塩が無くなると窒素固定をする、要するに空気中から直接栄養を採る事が出来る生物が居ます。

 

(FIG.-12)

これは特に黒潮域に居るトリコデスミームと言うものですけれども、我々のグループは先程言った白亜紀の黒色頁岩をいろんな方法で調べてみました。その結果、黒色頁岩はシアノバクテリアが作ったと言う事が判ってきたのです。これはどう言う事かと言うと、白亜紀の時代、海は今と全然違う状態で海が実は完全に温度棲息していてTurn Overすることが出来ない。表面には完全に栄養塩が少なくなって、その結果他の生物は全く生きる事が出来なくなりました。その時に地球の歴史の中で長い間生き続けたシアノバクテリア、実は昔地球にストロマトライトと言う構造を造って地球の大気を二酸化炭素から酸素に変えて行った主役なのですけれど、このシアノバクテリアが白亜紀の時代に復活して地球を再び救ったのであります。

 

(FIG.-13)

即ち、どう言う事かと言うと、白亜紀の時代には要するに海は全く無酸素の状態にあって、有機物が溜まって表面でシアノバクテリアが発生していた、普通のヘドロが溜まらない状態では、下に酸素の在る状態で他のプランクトンが生きると、これは普通の今の海に近い訳ですけれど白亜紀には、こう言う海が存在して居た。

 

(FIG.-14)

私は、今皆さんに話した事に関して、いろんな地球科学者はこの様なシナリオを考えています。白亜紀の地球の仕組み、ここら辺は余り話しませんけれども、何かコアマントルと地球深部に異常が起こったらしいと、地球の内部から大きな上昇流が沸き起こって来て莫大な量の火山活動が起こりました。その結果、二酸化炭素が大気に放出されて温暖化が起こりました。で、地球の温暖化が起こったと同時に海底は浅くなって海が大陸に侵出した訳ですね。非常に極端な温暖化の結果海は静塞して、要するに海の撹拌が無くなりました。その結果、海の下に溶融酸素が無くなって上は非栄養化してきました。栄養が無くなって来ました。その結果シアノバクテリアが大爆発して光合成活動を行いました。その結果、火山活動から発生したCO2は有機物として固定されて海底に、先程言ったヘドロ層として溜まったのです。それが、実は現在の石油の元である。我々はその石油を燃やして文明を造ってきたのです。

 

(FIG.-15)

そう考えると1億年前の出来事と我々は決して無縁ではない、なお且つ、その地球の将来に対して、例えばシアノバクテリアは何をするんだろうかと言う事は、非常に重要だし、我々は今までその事について全く無視して来た。こう言うのは私は、新しい自然観や、新しい地球観が人類の将来について、何をするかと言う事について話をすることができると、そう言う風に思う訳です。

 

(FIG.-16)

それでは纏めに入りたいと思います。白亜紀の世界像に対して掘削は何をしたか?

先程言ったように、

 

 

 

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