日本財団 図書館


(FIG.-7)

これは、太平洋の海底ですが、日本列島があります、南に行くとオーストラリアが在って、その北側にソロモン諸島が在るのですが、ここに黄色で書いた非常に大きな海底の塊が在ります。サイズはアラスカ位の大きな塊ですけれども、これはオントンジャワ海台(海の台地)と言われていますが、実はこの深海掘削を行ったところオントンジャワ海台と言うのは約1億2千年前位に地質学的に非常に短い時間で、今のところ200万年くらいと思われていますが、一挙に海底から玄武岩質の溶岩が吹き出して殆ど人類には考えられない大規模な噴火が海底で起こって、そしてこのアラスカ位の台地が地質学的に一瞬で出来てしまうと言う事が判ってきました。

 

(FIG.-8)

その当時、白亜紀の時代の古地図を復元して、これはローラアイランド大学のロジャー・ラーソン先生、スクリプス海洋研究所のジェリー・ウインタラー先生、そういう方々を中心に白亜紀の世界像を作って参りました。そうしますと、当時の白亜紀には大陸、この茶色で示したところが陸地なのですが、殆ど水没してしまうと、4割位の大陸は殆ど水に覆われて浅い海になってしまった。当時はオーストラリアが離れてインドにぶつかろうとして居た、そして先程のオントンジャワ海台というものをプレートテクトニクスの運動を復元してみますと、大西洋の真ん中位のところに集まってその他のいろんな海山、海台とか、そう言う比較的小さいものも全部この地域に集まってしまうと言う事が判ってきたのであります。即ち、この時期には海洋底ですごい量の噴火が在って地球の海底は火山の噴火だらけであったと言う事になる訳です。

 

(FIG.-9)

その当時の世界をさらに復元して見ますと、今から1億年前、この茶色で書いた海洋底の地殻のロジャー・ラーソンさんがコンパイルした図でありますが、海洋底の地殻の火山活動がものすごく激しくて今の3倍位有ったと、それから先程の有孔虫と言うものから海底海水の温度を復元することが出来ます、その様な海水の温度を復元すると、その温度は今よりずっと高くて例えば海の深層水と言われている、海の底にある水で2℃位ですが、当時は15℃位であると、海洋中がなま暖かかったと言うことが判り、それから海水面は今より300m高くて、これはとても氷を溶かしただけでは説明できない。海底の噴火によって海底全体が浅くなって、それから押し出された海水が地球上を覆ったと、そしてその様にしますと、実は海では非常に大変な事が起こります。

 

(FIG.-10)

1つは陸地が無くなる訳ですね。陸地が無くなると河が海に運んでくるいろんな栄養塩と言うものがそもそも無くなってしまう、で栄養塩とはどう言うものかと言うと、我々は蛋白質を作るのに窒素が必要であることを知っています。我々は核酸や細胞膜を作るのにリンが必要と知っています、これらは地殻や、それから窒素は空気中にありますが、生物はそれを利用するために大変な努力をしている。白亜紀の時代は地殻の風化が殆ど無くなって、海には栄養塩が大変乏しい状態になったと言う風に考えられます。この様な栄養塩が乏しい状態になった時に、どう言う事が起こるかと言う事ですが、我々は、普通海のプランクトン、珪藻で代表して考える事ができますが、1つ全然違うプランクトンの生物が居ます。

 

(FIG.-11)

それはらん藻類であります。らん藻類と言うのは、我々は夏に霞ヶ浦で大発生するあおこと言うのを知っていますが、私は千葉に住んで居ますけれども、千葉の水道の水があおこによって臭くなっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION