平成10年10月20日
深海地球ドリリング計画評価委員会
事務局科学技術庁研究開発局長殿
深海地球ドリリング計画に対する評価意見
小松正幸
(日本地質学会会長、愛媛大学理学部長)
1. 計画全体について
「深海地球ドリリング計画の概要」および、「21世紀の深海掘削計画の実現に向けて」(科技庁深海掘削懇談会)、「21世紀の深海掘削への展望」(月刊地球)、1997.7CONCORDRepot、International Workshop on Riser Technology等の報告書類を読ませていただきました。これらを通して、本計画がDSDP、OOPの成果を引き継ぎ、今後発展させるべき課題を国内および国際的討論を重ねて的確に整理するとともに、従来の技術ではできなかった領域と課題に対し、新しい技術をもって挑戦する画期的計画であるという確信をもちました。
深海域における長期の国際的調査研究によって、地球内部の変動様式や気候変動、地球環境の変遷など地球惑星の実態と諸相の変化・運動の実態とメカニズムの解明に画期的な成果が得られました。この成果は人類史的意義をもつものであると言って良いでしよう。しかもこれらの発見や理論の構築、仮説の提出が国際的な共同調査や研究によってなされたことは大変意味のあることであると考えます。
21世紀の深海ドリリング計画(OD21)は、DSDP,ODPが到達しえなかったより深部、より古い時代、より問題の多い領域に挑戦し、人類の地球に関する科学的理解を深化させるとともに、人類生存の科学的基盤と指針を得ることを目ざすものであり、その科学的、社会的意義と必要性は極めて大きいと考えます。
本計画は海洋国日本として世界に貢献すべきもっとも相応した非軍事的平和的領域であり、これまでの我が国の科学、政治、経済的実績から、21世紀に我が国が深海掘削において主導的役割を果たすことは国際的に要請されている重要課題の一つであります。
以上の見地から本計画の内容について全面的に支持するものです。
2. 実行と支援の組織体制について
本計画が、このような大規模な、国際的に責任を負うものであることを考えると、計画の立案から遂行にあたっては関係する研究者のみならず、学生、関係業界、一般市民の理解と協力が欠かせない要素であることは論をまたないと思います。とくに、長期に渡る計画の遂行において関係する分野の大学、研究機関、学会が強力な支援体制をつくり、実行