(なぜ地球変動研究が重要なのか?)
そのダイナミックな姿が明らかとなるにつれて、むしろ、変動する地球が本来の姿であり、とりわけ、地質学的に第四紀と呼ばれる約160万年前から現在までは、気候変動や地殻変動などが激しく進行した時代であったことが明らかにされてきました。そうすると、最近一万年もの間、比較的安定した気候が保たれてきたことの方が「異常」と考えられるようになってきたのです(図4)。
今や地球温暖化が世界の降水分布や農業生産などに与える影響が懸念されている中で、50時間で約2倍という割合で急増していく地球人口をこれからどうやって養っていくのか?
また、こうした人間活動がもっと急激な未知の環境変動を引き起こす恐れはないのか?
これらの全人類的課題に対して、誰もまだ解答を持っていません。
かつて南極において日本の科学観測によってオゾンホールが発見され、後にその危険性を科学的に証明したことがやがて国際政治を動かすまでになったように、地球変動予測のための研究を推進するためにも、現在進行中の地球変動過程(アクティブプロセス)のメカニズムを解き明かすことは、まきに人類の生存に関わる課題であると言えます。