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・ODPはJR号の老朽化により2003年9月末に終了する。それ以降は、大深度掘削の能力を持つ地球深部探査船と従来型掘削船の二船体制による統合国際深海掘削計画(IODP)に発展させることについて、各国の地球科学者及び科学技術政策担当者間で基本的合意に達している。

 

(3)地球深部探査船の開発

・過去の急激な気候変動を高い解像度で復元するには、堆積速度の速い海域を掘削する必要があるが、こうした海域には生物生産が活発だったことに由来する石油・ガスが存在することが多い。従来型掘削船では石油・ガスの噴出を防止する能力がなく、掘削に危険が伴うため、石油・ガス層を越えて掘削することができない。

 

・従来型掘削船には掘削孔を安定化させる能力がないため、掘削孔の崩壊などによって海底下掘削深度を増大させることが困難であり、ジュラ紀の地層、地震発生ゾーン、マントルなど海底下大深度の掘削が困難である。

 

・地球深部探査船は、上述の問題を解決する技術として、石油掘削で採用されているライザー掘削技術を高度化し、石油・ガス存在海域での科学掘削を可能とし、海底下の掘削深度7,000mを目指す能力を持つものである。当初は水深2,500m級の海域で科学的成果を得つつ運用データを蓄積のうえ、水深4,000m級でのライザー掘削を最終目標としている。

 

・計画提案者は、特殊試料採取システムなど科学掘削のためのライザー掘削技術の実現に不可欠な要素技術の研究開発に取り組んできている。今後その成果を反映させるとともに、システム化技術など日本が得意とする技術と掘削用機器など海外が得意とする技術を組み合わせ、また、今後開発される新技術を積極的に取り入れていくこととしている。

 

・「ライザー技術国際ワークショップ(1996年10月28〜30日横浜にて開催、センター、東京大学海洋研究所、JOIDES/TEDCOM共催)では、深海掘削に精通した内外の科学者及び技術者が共同で技術評価を行った結果、センターが提案するライザー掘削システムは実現性があり、また、水深2,500m級を経て水深4,000m級を目指す開発ステップが要当であるとの結論が得られている。

 

(4)統合国際深海掘削計画(IODP)

・IODPは、日本の地球深部探査船(ライザー掘削船)と米国の従来型掘削船(JR号の後継船又はJR号の改造)の二船を、統一した科学計画のもとで相互補完しつつ国際運用するものである。

 

 

 

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